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2020.09.14

フェイスブックの若返り策「キャンパス」は支持されるか?

マーク・ザッカーバーグ(Paul Marotta / by Getty Images)

米国の大学生たちはここ数週間でキャンパスに戻り始めているが、フェイスブックも同様な動きを始めることを決定した。

フェイスブックは9月10日、大学生に特化したサービス「フェイスブック・キャンパス」を立ち上げると宣言した。このプラットフォームに参加可能なのは学校から配布される.eduのメールアドレスを持つ人に限定され、独自のフィードやグループ、カレンダー機能も利用可能になる。フェイスブック・キャンパス内に投稿したコンテンツは、各ユーザーのプロフィールには表示されず、利用者は大学での専攻科目やクラス、出身地を添えて投稿が行える。

さらに、学生たちはキャンパスのディレクトリを使用して、同じ大学の仲間とつながることが可能だ。現時点でキャンパスを利用可能なのは、ブラウン大学からフロリダ国際大学まで約30の教育機関の学生のみとなっている。

2004年にマーク・ザッカーバーグがハーバード大学の学生寮で立ち上げたフェイスブックは当初、アイビーリーグの学生限定の交流の場として始まった。しかし、2020年の現在、このプラットフォームは、若者にはさほど支持されないものとなっている。立ち上げから16年を経て、フェイスブックは年寄りが使うものになってしまった。

今や時価総額が7600億ドル(約80兆円)を超える巨大企業に成長したフェイスブックは、原点に立ち帰ろうとしているのかもしれない。

証券会社エドワード・ジョーンズでフェイスブックの動向を分析するアナリストのデイブ・ヘガーは、「私には三人の娘がいて一番下は大学生だが、彼女はフェイスブックなんて見たこともないと話す」と語る。彼の大学生の娘のような世代の若者たちは、インスタグラムやスナップチャット、TikTokなどを愛用しているがフェイスブックとは縁遠い。

米国のピュー研究所の2018年の調査では、10代の若者の約3分の2が最も利用するソーシャルメディアにスナップチャットやユーチューブをあげたが、フェイスブックの名前をあげたのはわずか10%だった。

フェイスブックは再びクールになれるか?


フェイスブック側も、この状況を認識しているようだ。キャンパスの立ち上げにあたり、Facebook幹部のCharmaine Hungは、「初期のフェイスブックは、大学限定のネットワークだった」と述べた。「私たちは今、フェイスブック・キャンパスでルーツに戻り、学生が大学から離れていても、そこで得た関係を維持していくことを支援する」と彼は続けた。

この言葉の裏側には、パンデミックの影響で多くの学生がキャンパスに戻れない状況があるのものと思われる。フォーブスからのコメント要請に、フェイスブックの広報担当は、「私たちは常に、大学コミュニティをサポートしてきた」と述べた。

しかし、このタイミングでフェイスブックが原点に立ち返るのは、彼らが現在、問題を抱えていることの証でもあるだろう。

「ここで気になるのは、彼らの新たな取り組みがどの程度の成功につながるかということだ」と、株式ブローカーAtlantic Equitiesでフェイスブックを担当するジェームズ・コードウェルは語った。「それは、フェイスブックが再びクールになれるかどうか、という問題だ」と彼は続けた。

編集=上田裕資

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