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メディア「InsideJapanTours.com」より。江戸東京たてもの園の建造物。

東京と言えば、何が思い浮かぶだろうか。超高層ビルかもしれないし、夜のネオン街かもしれない。日本の首都である東京で昔ながらの町並みを見られる場所は、今ではめっきり少なくなったが、ツアーガイドを務めるクリスチャン・クロス氏は、隠れた伝統的建造物の世界を発見した。江戸東京たてもの園だ。

以下、海外からの旅行者や、日本長期滞在外国人向けのメディア「InsideJapanTours.com」から転載して紹介する。


東京の建造物


東京を案内していると、時々求められるのが「古い建物」だ。しかし、東京に来たことのある人なら、古い建物がほとんど残っていないことがわかるだろう。1923年の関東大震災を乗り切ったわずかな建物も、その多くが1945年の東京大空襲は持ちこたえられなかったし、苦難を乗り越えた建物もその後の現代風生活様式の犠牲になった。谷中のように昔ながらの面影を残している地域もあるものの、現代の東京は、そのほとんどがやはり「現代」なのだ。

江戸東京たてもの園


それでも、築数百年の寺院を見たいからと言って、新幹線に乗って京都まで行かなければならないわけではない。東京にも、(あまり知られてはいないが)自前の建築物博物館がある。東京都の西部にある小金井市に人知れずたたずんでいる江戸東京たてもの園だ。三鷹の森ジブリ美術館からわずか30分ほどの距離なので、ジブリ美術館の帰りに立ち寄るにも最適だろう。実は、江戸東京たてもの園のマスコットをデザインしたのは、他でもないジブリの宮崎駿監督である。

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少々長い名称だが、施設の内容をうまく説明している。江戸時代以降の東京の建物が屋外に展示されている場所ということだ。両国の江戸東京博物館と混乱しそうだが(実はどちらも同じ団体が管理・運営しているのだが)、こちらの博物館は東京という地域から当時の建造物を抜き出して展示している。昔の小さな交番から大金持ちの実業家の高級邸宅まで、建造物の規模はさまざまだ。


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東京の建造物博覧会


展示されているのはすべて本物の建造物を復元したもので、ほぼどこでも中に入ることができる。建造物のファンなら、きっと気に入るはずだ。英語の看板もすばらしいし、すべての建物にリーフレットが設置されていて持ち帰ることができる。施設案内があり、質問があればボランティアのガイドが親切に答えてくれる。「何か裏があるんじゃない?」と思う人がいるかもしれないが、そんなものはない。さらに楽しくなるだけなのだ。

東京の西部に隠れた場所なので、行くだけでちょっとした旅になるかもしれない(新宿からJR中央線とバスで約45分)が、人のほとんどいない最高の博物館という十分な見返りがある。東京の喧騒から逃れることができて、しかもお金もほとんどかからない。入館料400円で、私は江戸時代の農家で使われていた伝統的な平炉を見たり、かつての写真館で写真を撮ってもらったり、ドイツ人建築家が日本の住処にしていた場所で紅茶とケーキをたっぷり味わったり、20世紀初頭の店の並びを完全に再現した場所をぶらついたりと、4時間半の探索を楽しむことができた。

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たてもの園はまったく混んでいなかった。東京の気ぜわしさからの休息は、今まさに私が求めているものだった。

翻訳=加藤今日子 編集=石井節子

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