顧客エクスペリエンスの「Sprinklr」が200億円調達、来年にはIPOへ

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Thomasは、顧客ターゲティングを図る上でメールの限界を感じる一方で、フェイスブックやツイッターを介して顧客とコミュニケーションを取る事業に大きな可能性を見出した。

そして、企業がSNSを一元管理できるポータルの提供を目指し、2009年にSprinklrを設立した。同社は、2012年にBattery Venturesが主導したシリーズAラウンドで500万ドルを調達した。

しかし、2016年までにSNSチャンネルは成熟化し、Sprinklrはカスタマーエクスペリエンス市場への参入を目指したが、様々な困難に直面した。この間も同社はベンチャーキャピタルから多額の資金を調達したが、顧客対応の従業員たちが退職し、90%台半ばだった顧客の定着率は80%近くまで下がったという。

その後、Sprinklrは体制を立て直し、企業がSNSやテキスト、インスタンド・メッセージ、ブログなどあらゆるコミュニケーションを俯瞰して管理できる製品を開発した。例えば、プラダはSprinklrを使ってリンクトインやファッション系フォーラムなど、様々なプラットフォームで実施する広告キャンペーンの連携を図っている。

Sprinklrは、M&Aを通じてサービスの拡充を図り、これまでに12社を傘下に収めており、昨年12月には広告事業を手掛ける「Nanigans」を買収した。

Thomasによると、Sprinklrは潤沢な成長資金を確保しており、今後の12〜18カ月以内にIPOを目指すという。彼は、これまで多くの困難に直面してきたが、Sprinklrの壮大なビジョンに自信を抱いている。オンラインで実施されたインタビューで、彼は大きなブッダの絵を背景に次のように語った。「我々は世界をより幸せにしたいと思っており、そのために事業を成功させる社会的義務を負っている」

編集=上田裕資

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