AIで顧客サポートを激変させる「レプリカント」が29億円を調達

Bojan Milinkov / Shutterstock.com

数億人の人々が、アマゾンのアレクサやアップルのSiriなどの音声アシスタントを日常的に利用する中で、ある企業は、会話型ロボットを次のレベルに引き上げようとしている。

映画「ブレードランナー」に登場するキャラクターと同じ企業名を持つ「レプリカント(Replicant)」は、テキストベースのチャットボットと、リアルタイムのAI(人工知能)アシスタントを組み合わせた顧客サービス向けソフトウェアを生み出した。

同社は9月10日、2700万ドル(約29億円)の資金をシリーズAラウンドで調達したとアナウンスした。今回のラウンドは、Norwest Venture Partnersが主導し、昨年の700万ドルのシードラウンドに参加したAtomicやBloomberg Beta、Costanoa Venturesらに加え、新たに保険会社State Farmのベンチャー部門も参加した。

レプリカントは増資後の評価額を明かしていないが、Norwestのパートナーで元セールスフォースの上級副社長のスコット・ビーチャックは、同社の取締役に就任する。

「当社のソフトウェアは、人間のふりをするものではないが、その体験は人間と会話するのとかなり似ている」とレプリカントCEOのガディ・シャミアは述べた。

サンフランシスコ本拠のレプリカントは、電話で人と会話し、人間のような声で話すAIを生み出した。このボットは、複雑な会話を理解するためにディープラーニングを採用しており、特定のカスタマーサポート業務を完全にこなせるという。

レプリカントは、遠隔医療サービスのHimsやレンタルプラットフォームのBungalowの出資元でスタートアップビルダーの「Atomic」によって、2017年に設立された。CEOのシャミアは、ソフトウェアメーカーのTalkdeskのCOOを務めた後、2019年にレプリカントに加わりCEOに就任した。

シャミアによると、レプリカントの技術は、コールセンターで働く人々の業務を劇的に効率化するもので、現在は毎月200万件の顧客サポートが、同社のソフトウェアで行われているという。同社の顧客は20社以上にのぼり、レストラン向けのテクノロジーを提供するXenialもレプリカントのソフトを使用中だ。バーガーキングやウェンディーズなどのチェーン店の従業員も、同社のAIアシスタントを業務連絡に活用しているという。

同社は新規で調達した資金をマーケティングに注いでいく予定だが、シャミアはレプリカントの技術が、人間から仕事を奪うものではないと話す。

「テクノロジーは産業革命以来、人間の果たす役割を変えてきたが、レプリカントが完全に自律的なコールセンターになるのではない。当社のテクノロジーは常に人間のエージェントと提携をとりつつ発展していく。私たちの目標は、ありふれた作業を機械に引き継がせることであり、人間はそれを監督する役割を担っていく」と彼は続けた。

編集=上田裕資

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