このダイアログ・ミュージアムでは、ドイツ発祥の真っ暗闇を体験するエンターテインメント「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」と、静けさのなかで聴覚障害者とともに表情やボディーランゲージでコミュニケーションを楽しむ「ダイアログ・イン・サイレンス」、そして2021年に開催予定の、年を重ねることの豊かさを感じる「ダイアログ・ウィズ・タイム」の3つのプログラムを体験できる。これらのソーシャルエンターテインメントを同時に楽しめる常設施設としては日本初だ。
「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」は、現在は新型コロナウイルス感染防止対策として、漆黒の暗闇にひとつの明かりを灯し、「ダイアログ・イン・ザ・ライト」として開催。案内役である視覚障害者のアテンドのもと、3つの世界を体験する。
「夜の高原」では、絵を描きながら草原や星空に想像を膨らませる。「公園」では、身体全体を使って遊びを楽しむ。そして、「ノイズの森」では、視覚障害者にとっての「音」の重要性を、対話を通して学ぶ。まさに、闇のなかで五感を広げながら120分間を過ごすプログラムだ。
「ダイアログ・イン・サイレンス」では、静寂の空間のなか、聴覚障害者のアテンドに導かれ、声を出さずに思いを伝える世界が体験できる。「手のダンス」や「顔のギャラリー」で、手の形や表情を使ったパフォーマンスを体感したり、簡単な手話を使って会話を楽しんだりする。
「対話の部屋」では簡単な手話を使って会話を楽しめる
参加者同士が初対面でも、やがて仲間意識が生まれて、最後はあだ名で呼び合うように。遊園地のジェットコースターのような興奮はなくても、じんわりと温かで、不思議な心地よさが体験できる。
「福祉の疑似体験ではなく、ディズニーランドに出かけるとか、映画館に行くという選択肢のなかに、このダイアログ・ミュージアムも入っていけたらと思いスタートしました」
運営するダイアローグ・ジャパン・ソサエティの代表理事である志村季世恵さんはこう語るが、ともすれば障害者を取り巻く環境が福祉の観点で語られることが多いなか、ダイアログ・ミュージアムでは、あくまでエンターテインメントとして、さまざまな挑戦を続けている。