ビジネス

2020.09.14

「筋トレ」に魅せられた起業家が仕掛ける、フィットネス業界の変革

NAKD代表取締役の大久保光佑


また、いくらカジュアルで通いやすくとも、ユーザーの習慣化に繋がなければ意味がない。そう語る大久保は「誰もが筋トレを好きになる」仕掛け作りも、積極的におこなっていくと語る。

「国内には格安で24時間営業のジムがありますが、パーソナルトレーニングがプランに組み込まれていないので、なかなかパーソナルの申し込みを言い出しにくいと感じてしまうのが筋トレの『あるある』です。僕も初心者のころ、同じ経験をしたことがあります」

「そんな初心者でも知識を身に付け自走できるよう、THE NUDEでは24時間営業としては珍しく、パーソナルトレーニングがプランに組み込まれているのが特徴です。知識ゼロでも楽しく、美しくなれるよう、トレーナーが同じ目線で筋トレと向き合っていきます」



なぜ「筋トレ」に魅せられたのか


大久保は大学時代、家入一真が主宰するシェアハウス「リバ邸」で学生時代を過ごした。卒業後はIT企業への就職を考えていたが、家入らからの誘いを受け、創業期のBASEにジョイン。その後、チャット小説アプリを開発するPicApp(ピックアップ)に転職し、同社がDMMの子会社になると、事業責任者を務めた。

一見するとジムには結びつかない大久保のキャリアだが、本人にとっては「筋トレがなければいまの人生はない」と語るほどだという。

「ジムに通い始めたのは、BASE在籍時代の後半ごろからです。最初は何をしたらいいのかわからなかったのですが、都内のパーソナルジムに通うなかで理論を学び、少しづつのめり込んでいきました。なによりも、筋トレを通じて変わっていく自分の身体を見て、自信がついたことが大きかったですね。仕事面にも、間違いなくポジティブな影響をもたらしてくれたと感じています」

いまとなっては大会に出場し、トレーナーとしての仕事もこなしている大久保。また、フィットネス領域で起業をした背景には、ある「業界の不条理」を感じたことがきっかけになっていると語る。

「いま、フィットネス業界は『値引き合戦』になっており、そのしわ寄せがトレーナーにきている現状にあります。ジムが会員費を低く設定する一方で、トレーナーの単価がどんどん下がっている。知り合いにも、4000円だった単価が2000円になってしまったというトレーナーがいます」

「筋トレが大好きな私にとって、この現状を変えなければ、フィットネス業界は縮小してしまうと感じました。自分がジムを出すからには、しっかりとしたサービスを提供することによって正当な対価をもらい、トレーナーを蔑ろにしないジムを作りたいと思ったんです」
次ページ > 会員登録から入り口の開閉までをスマホで完結

文=新國翔大 人物写真=小田駿一

ForbesBrandVoice

人気記事