都心に新たな注目ホテルが誕生 「フォーシーズンズホテル東京大手町」

39階からの絶景を望むイタリア料理 「ピニェート」のテラス席


だからと言って、フランス語で「グルマンディーズ」と呼ばれる、美食の愉しみを削ぐものであってはいけない。それを感じられたのが、次の「松茸 ハム 胡桃」。

この日は入荷の関係で、セップ茸での提供だったが、セップ茸を稲藁で焼き上げてから、その稲藁のスモーキーさを移したクリームと鶏の出汁で煮込み、旨味が凝縮したセップ茸をグアンチャーレで包んで提供する一皿だ。ほぼ茸の皿だが、グアンチャーレの動物性の旨みとセップ茸の旨味が重なり、肉を食べている以上の満足感がある。

デザート前のチーズコースの代わりに「豆腐チーズ」を提供するのもその表れだ。パリパリとしたパンの上に、豆腐、そして上からは豆腐のエスプーマとオリーブオイル、細かく刻んだレモンピールが乗せられており、まるで甘くないフレッシュチーズのタルトをいただいているような感覚になる。食後感も軽やかで、後に続くデザートにも良い橋渡しとなってくれる。

デザートはカモミールの花を象ったもので、テーマは「ミツバチ」。「ミツバチがいなくては、果物も野菜も実らない」アッバテマルコシェフは、今そのミツバチの数が急激に減少していることへのメッセージを込めたのだという。

もう一つの、オールデイダイニングも兼ねたイタリアンレストラン「ピニェート」は、なんと言っても美しいサンセットが楽しめるテラスがオススメだ。ローマ近郊の芸術家が集まる地域に因んだ名前通り、「豊かな人生」がテーマで、総料理長、マルコ・リーヴァシェフの手による、手間がかかるためにあまり作られなくなってしまったガルガネッリなどの「忘れられたパスタ」を提供している。

さらに、店内にはピザ窯があり、ワインを片手に、焼き立てのピザを楽しめるようになっている。コース料理のみならず、家族でシェアもできる気前の良いポーションの多様なアラカルトがあるのも魅力。ヴァローナ・チョコレート・シェフ・コンペティションで世界一に輝いた青木裕介シェフによるデザートにも注目だ。

「日本にはあらゆる種類の素晴らしい茶葉がある」(デブリト氏)と、このピニェートも含め、ホテル内の茶葉は紅茶やハーブティーも含め、全て国産のものだ。ラウンジでは、青木シェフによるスイーツと、豊富な種類の茶葉が楽しめる。
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文=仲山 今日子

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