バチカン美術館の入館料は約20ユーロ(約2500円)で、16世紀前半のルネサンス期にミケランジェロが描いた天井画があるシスティーナ礼拝堂も含まれている。通信社リリジョン・ニュース・サービスによると、通常は毎日数万人が訪れ、数百万ドル(数億円)の収入を生み出している。
バチカンが公表している歳入額は、平均的な米国の大学と同じ水準だ。2016年から2020年までの歳入と支出は安定しており、歳入は2億7000万ユーロ(約340億円)ほど、支出は3億2000万ユーロ(約400億円)ほどで、赤字が続いている。
バチカンは、デフォルト(債務不履行)に陥ることはないと発表したが、同国は他国と同じく観光客の減少により資金繰りに苦慮している。また、教皇庁への直接的な寄付である「聖ペトロ使徒座への献金」と各司教区からの献金の両方が減っていることもあり、状況はさらに厳しい。
バチカン市国の国政と教皇の公務には多額の費用がかかる。フアン・アントニオ・ゲレーロ・アルベス財務事務局長官は、教皇庁の活動は他国と比べるとユニークだと説明している。
教皇のメッセージは36言語に翻訳され、全世界にソーシャルメディアや新聞、出版社を通じて広められる。これには国家予算の15%が費やされるが、同時に出版物を通じて収入ももたらされる。教皇庁は毎年、イタリア政府に1700万ユーロ(約21億円)の税金を納めている。
ゲレーロ長官は、損失は少なくとも25%、最大で40%に上る見通しだと述べた。
こうした中、フランシスコ教皇(83)は、バチカンの財政引き締め策を発表。全ての支出はあらかじめ決められた業者を通して新たな中央発注システムにより承認されなければならないとした。これにより「経済的効率性と持続可能性のあるプロセス」が実現することが望まれている。