トランプ政権の高官をめぐってはこれまでも、連邦職員が公的な立場や政府建物内で党派的な政治活動を行うことなどを禁じた1939年の「ハッチ法」に違反した疑いが繰り返し問題にされてきた。
ただ、今回の共和党全国大会では、その懸念が新たな段階に入ったと言える。独立系の監視団体「ワシントンの責任と倫理を求める市民(CREW)」は先ごろ、大会向けにホワイトハウスで開かれた国籍授与式典で果たした役割について、チャド・ウルフ国土安全保障長官代行をOSCに告発した。
CREWはこのほかにも、共和党と民主党の全国大会中、トランプ政権の高官によるハッチ法違反が少なくとも15件あったとしている。
下院監視・改革委員会の民主党議員も今月に入り、この式典をはじめ違反行為が疑われる多くの件に対して捜査を求める書簡をOSCに送っていた。対象には、マイク・ポンペオ国務長官が中東公式訪問中、イスラエルで撮影された映像の中で行った発言なども含まれる。
OSCは9日の書簡で、「公正な捜査」を実施すると表明。実際に違反が確認されれば、法律に従って適切な是正措置を講じるとした。「ハッチ法の違反が疑われる例はすべて深刻に捉えている」と懸念も示した。
ホワイトハウスのジャッド・ディア報道官はフォーブスに対し、共和党全国大会のイベントはトランプ陣営と共和党全国委員会によって企画・実行されたとしたうえで、「参加した政府職員は全員、ハッチ法に従ったかたちで参加した」と主張した。
一方、CREWのドナルド・シャーマン副事務局長は、トランプ大統領とそのスタッフについて「再選に向けたキャンペーンをてこ入れするために、相変わらず連邦法を悪用している」と批判。「明白で悪質なハッチ法違反」に対する関係者の責任を問うため、OSCに迅速な対処を求めた。
OSCはこれまでトランプ政権関係者によるハッチ法違反疑いを徹底的に捜査しており、昨年には同法に何度も違反したとしてケリーアン・コンウェー大統領上級顧問の解任も勧告している。ただ、OSCは法執行では抑制的な姿勢をとっており、高官が処罰されることはめったにない。