そうした中、社会にポジティブなインパクトを与えているのがイタリアを代表するラグジュアリーブランド「フェンディ(FENDI)」だ。パンデミックによって、離れて活動せざるを得なくなったオーケストラや演奏家を再び集結させ、その公演をストリーミング配信するワールドプロジェクト「フェンディ ルネサンス - アニマ・ムンディ」を2020年6月よりスタートした。
このアイデアは、「アート、ファッション、そして音楽を通じた再生」という前向きなメッセージを世界に届けたいという強い想いから生まれた。オーケストラや演奏者に新たな活動の場を提供することで、文化芸術活動の再開を後押しすると同時に、渡航制限などによって海外旅行に繰り出せない世界の人々にささやかな楽しみを味わってほしいという願いから、各都市の美しいランドスケープを音楽に融合させたコンテンツを発表している。
第1弾の舞台となったのはフェンディ創業の地ローマ。イタリア人ソロ ヴァイオリニストのアンナ・ティフ氏が、サンタ・チェチーリア国立アカデミー管弦楽団と共に、フェンディのローマ本社があるイタリア文明宮を会場に、ヴィヴァルディの「四季」より協奏曲『夏』の全楽章を演奏した。屋上から望む壮大なローマの街並みと音楽が見事にマリアージュした様子は、フェンディ公式チャンネルを通して6月19日にストリーミング配信され、大きな反響を呼んだ。
そして第3弾の舞台となったのは日本。渋谷にある展望施設「渋谷スカイ(SHIBUYA SKY)」と、銀座にある屋上庭園「GINZA SIX GARDEN」を会場に、東京藝術大学音楽部の学生でヴァイオリニストの荒井里桜氏と同大学出身でサクソフォーン奏者の上野耕平氏が、イタリア人作曲家 ジョアキーノ・ロッシーニ(Gioachino Rossini)の「ウィリアム・テル序曲(William Tell Overture)」よりフィナーレを披露した。
ダイナミックなリズムと音量の変化が刺激的で、かつパッションを感じさせるこの曲は、人々が苦難を乗り越え、歓喜に湧く様子が表現されており、聴く人々に希望を与えてくれる。