彼が2004年に設立したモバイルブラウザ企業「UCWeb」は、2014年にアリババに買収された。そして、2014年に創業したEV(電気自動車)メーカーの「シャオペン(XPeng)」は8月27日にニューヨーク市場に上場し、時価総額は130億ドル(約1兆3800億円)を超えている。
シャオペンは上場前からアリババやIDG、シャオミ、セコイア・キャピタル・チャイナからの出資を獲得していた。フォーブスは現在のHeの保有資産を41億ドルと試算している。
筆者はHeにインタビューを行い、彼の成功の理由を探ることができた。下記にその抜粋をお届けする。
──起業する上で最も大切なことは何だと思いますか?
中国には「井戸の底に居る蛙は一生そこに留まって、上には上がらない」ということわざがあるが、起業するのは自分の天井を打ち破り、前に進むための非常に良い方法だ。起業をする上では少なくとも運に恵まれることや、大きなトレンドを把握することが必要だ。大きなトレンドをつかむことは、実は一番大事なポイントではないかと考えている。
UCブラウザが飛躍できた一つの理由は、チームがお互いに信頼し合い、共に成長していくことができたからだ。当時はモバイルインターネット市場の勃興期で、モバイルの処理能力は不十分で、クラウド機能の拡大が求められていた。
そこで我々は、クラウド型のブラウザを立ち上げた。既に存在していたツールやコンテンツ、サービスのエコシステムを、ちょうど良いタイミングでまとめられた。
──アリババとの提携が始まった経緯は?
アリババはUCに5~6回出資し、その後、シャオペンにも出資してくれた。彼らから出資を受ける度に、新たな信頼を獲得できたと感じていた。そして2014年の末に、アリババはUCブラウザを彼らの事業に組み入れることを提案してくれた。私はその後、ジャック・マー先生と話が出来る機会を与えられ、彼の会社の一員になれたことを誇りに思った。
──EV業界に転身した経緯は?
車を作るのは、ソフトウェアと比べると複雑度が非常に高く、非常に大変だ。膨大な数の部品を組み合わせてソフトやハードを連携させる必要があり、サプライチェーンも巨大な規模で、わずかな欠陥が重大な問題につながる可能性もある。
しかし、ブランドや製品、R&Dやマーケティング、アフターサービスなどの要素を統合的に管理し、完成させればインターネットのサービスとは全く違う充実感が得られる。大きなスケールの工業製品を生み出すというのは、とてもかっこいいことだと思っている。