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2030年の社会では、労働人口の半数がAIやロボットに仕事を奪われる一方で、専門技術者などの高付加価値人材が不足するといわれている。その危機に対して、アウトソーシングテクノロジーが導き出したイノベーティブな解決策を同社代表取締役社長、茂手木雅樹に聞いた。


相手を尊重するM&Aこそイノベーションを可能にする


「2030年の未来の社会で起こる専門技術者不足、それは深刻な社会問題となるでしょう。そしてその流れは昨日今日に始まったことではないのです」

茂手木雅樹は、24歳の若さでweb制作会社を起業した当時から、技術者不足の問題は存在していたと指摘する。

「最初の会社を起業した当時はホームページがまだ珍しかった時代で、たくさんの受注を得られました。しかし、制作する技術者がいない。これには困りました。周囲の企業も異口同音に『エンジニアがいない』と嘆いている。それなら自分がやろうと、エンジニア派遣を始めたのです」

しかし茂手木は、そのリソースを社内で生み出そうとは考えなかった。「自社に不足しているものがあれば、その不足部分を補ってくれる企業に積極的に合流する。そのほうが短期間でビジネスを加速できるというのが私の結論でした」

茂手木の成功は、彼自身が自社をバイアウトし、アウトソーシンググループというより大きな企業体の一員となることで訪れた。より高次の目的のために売却を選択肢に入れるという英断だ。

同グループは、当時製造業中心のブルーワーカー専門の派遣会社だった。しかし、M&Aによって茂手木の会社のシステム開発のノウハウを取り入れれば、新しい人材派遣のかたちを生み出せる、そう確信した茂手木は、迷わず吸収される側に立った。自身のM&Aの成功体験は自信につながり、今度は彼がグループ傘下に入るメリットを語る立場になった。M&A先の心がわかる彼だからこそ、言葉に重みが加わる。

業績は順調に伸び続けた。しかし再び壁が立ちはだかる。

「派遣のシステムを最適化することはできました。しかし社会がより高度な技術者、高付加価値人材を求めるスピードのほうが速く、やはり技術者が足りないという根本的な問題は解決できなかったのです」



そこで彼が思いついたのが、エンジニアなどの高付加価値人材の育成だった。今度は技術者育成スクール「KEN スクール」を運営するシンクスバンクをM&Aによりグループインさせることで、派遣業をさらに進化させていった。

受け入れ企業の実情に即した人材育成


「それまでのKEN スクールでもさまざまな資格を取得できました。しかし即戦力になる人材を本当に育てられているかというと疑問でした。

私たちには派遣業で築いた顧客企業との関係性があります。つまり本当に現場で欲しい人材、必要な能力が直接把握できるのです。これは目的がはっきりする分、一人前の人材育成のスピードアップにもつながります。また、働き手にとっても真に役に立つ人材に最短距離でなれるのですから、まさにWin-Winの関係です」

そうした取り組みは、アウトソーシングテクノロジーの学生人気にもつながっているという。20年4月入社が約2,000名、21年には2,300名の採用を予定しているというからその規模は大きい。

顧客が求めるのは人ではなく、成果


「企業は人材が欲しいと言います。しかしよく聞くと、彼らが求めているのは人数ではなく、成果だということがよくあります」

そのようなときに同社では「派遣2.0」モデルを提案する。これは、人員からソフトウェア、ハードウェアまでをまとめて最適な支援を提案するというものだ。例えば10人必要な業務を、3人+ロボット/システムという形に置き換えることもあるという。



「具体的には長谷工グループで導入したマンションのタイル打診検査の例がわかりやすいでしょう。従来は外壁のタイルの浮きや割れなどの不具合を検査用紙に記入し、写真を撮ってそのデータをもち帰り、報告書の形に整える必要がありました。しかし私たちはAR技術を使い、スマートグラスを装着しながら検査項目を入力するだけで、報告書が自動で生成される仕組みを共同開発し、オフィス業務の大幅な効率化を実現しました。こういった省人化のソリューションや自動化のニーズはまだまだあり、あらゆる産業のニーズに当社は応えていきたいと思っています。」

エンジニア不足はグローバルの舞台へ。1兆円企業へのロードマップ


「今回のコロナ禍でもわかりましたが、ひとつの企業でその時々の必要人員以上を雇い続けるのは、大きなリスクにつながります。だったらそのリスクを私たちが取ればいいという発想です。技術者人材のプラットフォームとして存在することで、社会全体が高付加価値人材をシェアすることができ、社会の発展を技術者不足で阻害しない世界をつくることができます。

さらに一般の職能の方を教育によって、高付加価値人材へと進化させることも可能です。これによりそうした方々にも専門的技術を要する新たな道が開けるようになるのです。テクノロジーの普及によって企業の生産性が向上する一方で、雇用機会が奪われていくことも事実です。高付加価値人材の育成は人々の雇用を守ることにもつながると考えています」

最後に茂手木は、“1兆円企業”を目指すと断言し、その道筋を語ってくれた。

「もちろん国内だけであれば“1兆円企業”達成は難しいでしょう。しかしグローバルを視野に入れれば、さほど難しいことではありません。技術者不足は世界共通。各国に1,000億円規模の事業を展開すれば、10カ国で1兆円に到達します。この目標は、現実的な未来を見据えたロードマップなのです」


アウトソーシングテクノロジー
https://www.ostechnology.co.jp



茂手木雅樹◎2004年から数々の会社を立ち上げつつ、12年にアウトソーシンググループに参画、14年にアウトソーシングテクノロジー代表取締役社長に就任、業態変革を図る。



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