愛着障害という名の「心の渇望」にも着目 三位一体で獄中鑑定へ|#供述弱者を知る

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【2月10日14:43】秦⇒角

昼過ぎに井本君から電話をもらった際に伝えましたが、前に話した精神科医で私の同期入社の小出将則氏の協力を得られることになりました。現在、関係資料および、手紙のすべてに目を通してもらっているところです。知見を示す上で必要なこととして、以下のリクエストがあります。

(1)母子健康手帳や本人の写真 (2)両親との面談 (3)捜査中の○○刑事と西山美香さんとの間の具体的なやりとり。この中で、1と2については、彦根に出向いて西山家を訪問する件で快諾を得ています。 候補日としては、2月26日(日)、3月5日(日)で、調整して頂けないでしょうか。 ご両親には「供述を誘導された美香さんの心理分析をする上で必要な面談」と説明してもらえれば、と思います。よろしくお願いします。


小出医師の協力のもと、獄中鑑定を行うことを角記者にも伝えた。西山さんの父親の反応は、切実だった (Shutterstock)

【2月10日20:53】角⇒秦

父輝男さんに電話したところ、小出医師の訪問は快諾いただけました。26日は大丈夫だそうです。ただ、詳しい時間を伺っておりませんでしたので、時間帯はあらためて連絡すると伝えてあります。

輝男さんは、今月に入ってから県警、大阪高検、大津地検へと(再審やり直しの)要請活動に回り、事実上あしらわれたので落ち込んでいるようです。 小出医師の訪問については「協力いただける方には協力いただきたいです。ぜひお願いします」と話していました。高田記者は、今月に入ってから受刑者宛の手紙を投函済みです。


角記者からのメールの末尾に書いてある、手紙の投函は、獄中鑑定と同時進行で進めていた「無実の立証」のカギとなる西山さんへの直接取材。これも、報道が日の目を見るためには重要なステップだった。仮に獄中鑑定ができ、冤罪を主張できる段階に至ったとしても、確定判決に真っ向から異を唱える報道を敢行するとなれば、独自に本人に取材した証が欲しい。

「本人に取材していないではないか」。そうは言われたくない。獄中の西山さんとの文通は、重要なチャレンジだった。手紙は、女性同士の方が西山さんの抵抗感が少ないと考え、大津支局の高田みのり記者 (28)に任せていた。
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文=秦融

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