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2020.09.10 11:00

「150人で売上150億円超え」。ベールを脱いだ、知られざる気鋭ベンチャーの実像

一時期のバブルは去ったが、今もスタートアップ界隈では、資金調達のニュースが止まない。数億円規模は当たり前。数十億円規模の調達も珍しくない。

エクイティファイナンスを選択したスタートアップが出口戦略を描くことは当然だ。ストレートに言えば、スケールするためにはカネがいる。しかし、自己資金だけで成長を遂げることも、一つ、美学としてもっと語られても良いのではないだろうか。

ここに、創業から15期まで一度も資金調達せずに増収増益を続けていた企業がある。自社セールス事業をはじめ、ECソリューション提供、運用に関するコンサルティングからデジタルマーケティング、AI研究開発まで数珠つなぎに事業を拡大している会社、その名はイングリウッド。

同社はメディアへの露出が正直、ほとんどない。過去に何度か投資案件の話もあったが全て断ってきたそうだ。理由はとにかく現場主義だったから。少人数で高い収益を生み出すために業務の自動化にこだわり、今期は150億円以上の売上を見込んでいる。約150人の社員数で割ると、一人あたり年間1億円以上の売上をつくっていることになる。

そう、彼らは“ハイパフォーマー”だ。

同社はいかにして群雄割拠のEC領域で独自のポジションを築いてきたのか。代表取締役社長CEOの黒川隆介に、「筋肉質な組織」を実現する経営方針を聞いた。

全社員を3カ月で「事業家」に育てる、研修カリキュラム


創業以来、同社が業績を伸ばし続ける背景には一体何があるのか。その秘密は月並みな表現だが、教育に隠されていた。

イングリウッドでは全社員に対して、3カ月で営利プラスを生み出す仕組みとして、研修を活用し“実践”することを求めている。実際、3カ月で数字が出る人間も多く、6カ月以上かかる社員は稀だという。

研修の内容はビジネス商流、ファイナンス、事業計画。これだけでも十分かと思うが、そこにプログラミング、デザイン、マーケティング、EC運営......ITビジネスに不可欠な知識を社員は基礎から学ぶことができる。使用する教材はなんと、パワーポイント1400ページにもおよぶ。

カリキュラムは黒川がこれまで現場で学んだメモがベースになっている。その内容を、同社のIT人材創出を目的とした教育事業「ビズデジ」の事業責任者・岸本裕史を中心とした経営陣、マネージャー陣が日々ブラッシュアップし続けているという。

「オーバースペックなカリキュラムだと自覚しています。ただ、これは社員を想ってのことです。もし転職したとしても社員には活躍してほしい。うちだと5年かかるポストに他社なら1年で就けるなら、そちらに行っても構わない。『イングリウッド出身の人は流石だ』と評判になるような人材輩出企業を目指しています」

さて、事業の話を少し。イングリウッドでは顧客から予算を預かるモデルではなく、レベニューシェア型でアライアンスを組み、顧客と共同運営する形でプロジェクトを推進している。

その際、P/L、B/S、C/Fなどの会計知識があれば、顧客にとってベストな提案ができるのは明白。だからこそ、同社は教育に圧倒的な時間とコストを投下するわけだ。

「普通の会社に勤めていると、社内やクライアントから伝えられたKPIは、“何も考えずに守るもの”で、その背景や根拠を考える機会は稀だと思います。でも、うちの社員たちはビジネスの構造や裏側を把握しているので、『なぜこのKPIなのか』『なぜ自分の給与がこのくらいの額なのか』、納得した上で仕事に取り組むことができるのです」

こうして“筋肉質”な組織づくりに成功したイングリウッドだが、創業当時は「うれしい悲鳴」による資金繰りでの苦労もあったと振り返る。

大学卒業前、企業に内定していた黒川。だが、内定式で社会の理不尽さを痛感。その日が“就職回避”の引き金になった。

過去ソニーで働いていた黒川の母親は、就業意欲のない息子を見て憔悴してしまった。そんな母親の表情を見た黒川は、ようやく社会に出る決意をする。単身ロサンゼルスに渡り、個人事業主として大好きだったスニーカーの仕入れ販売を始めた。これがイングリウッドの原点である。

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「当時は米国と日本で色々なモノの内外価格差が異常で、スニーカーは特に現地で80ドルで売られているものが日本で250ドルで売られているような時代でした。『米国でスニーカーを買って日本に送るだけで儲かるならやらない手はない』と思ったんです」

出だしから事業は好調だった。しかし、会計リテラシーがなかったため、何度も黒字倒産の危機に直面したという。

「入金された売上をほぼ全部仕入れにつぎ込むという無謀な経営をしていたので、慢性的に資金ショートの危機に直面していました。当時はP/L、B/S、C/Fなんてわかっていなかったし、そもそも決算書の存在も知りませんでした。

加えて輸入業は、関税あり、送料あり、還付あり、在庫あり......と、ビジネスの中でも複雑なスキームになっていた。気づけばキャッシングの沼にはまっていたのです」

この時の経験が、冒頭で紹介した1400ページにも及ぶ社員教育プログラムをつくるきっかけになったのだ。

ECなら誰にも、どこにも負けないという圧倒的根拠の数々


ビジネス的な側面から見ても競合を寄せ付けない強さがイングリウッドにはある。同社が展開する三つの事業を見てみよう。

一つ目は、セールス・ライセンス事業。

創業から続くイングリウッドの原点ともいえるこのビジネスでは、ファッション、美容、健康など世界各国から選りすぐった300以上のブランドをオンライン/オフライン両面から日本をはじめアジア各国に展開している。

オフラインでは年間のべ2万店舗に商品を卸し、オンラインでも年間のべ300万人以上が利用する自社ECサイトを運営。自社PB商品、ライセンス商品、OEM商品なども開発し、事業全体で年間数十億円の売上を記録している。

「プロダクト設計からマーケティング、フルフィルメント(受注、梱包、在庫管理、発送、受け渡し、代金回収までの一連のプロセス)まで、15年蓄積してきたノウハウがあります。そこは大手プラットフォーマーや広告代理店にはない、優位性だと思います」

二つ目は、同社のメインビジネスであるデータテクノロジー事業。

自社ECにあたるセールス・ライセンス事業で培ったECノウハウを、顧客向けにサービス化したビジネス。売上はなんと、年間100億円以上にもおよぶ。

「ECに必要な一連のソリューションをワンストップで提供している会社はほとんどありません。特にプロダクト設計から倉庫やコールセンターのオペレーションに関するノウハウを持っている企業は少なく、大手メーカーをはじめあらゆる企業様から、日々、お問い合わせをいただいています」

最後に紹介するのは今後のビジネスの柱となり得る、AI開発事業だ。

社内のデータサイエンティストや機械学習エンジニアたちが、自社に蓄積された顧客・広告データから、デジタルマーケティングやAI搭載CRM、MD最適化システムなど、業界の不便をなくすようなさまざまな仕組みを開発。要は、ECに関するあらゆる業務を全自動化できるものである。

「毎年蓄積されていくデータをAIに学習させることで、施策の精度や業務効率化のスピードは年々高まっています。当社ほどECにおけるデータを貯めている企業は、おそらく国内に存在しないでしょう」

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仲間に正直であれ、そして素直であれ


最後に、教育、そして事業と盤石な体制を敷く黒川に、「良い組織とは?」と聞いてみた。そこで返ってきたのが、行き過ぎにも思える厳しい規則のエピソードだった。

「チームで仕事をしていると、『あの人のスタンスは許せない』みたいな小競り合いがたまにあるじゃないですか。うちでも過去に一部の社員たちがギクシャクしていて、周り、そして会社のメンバーに不快な思いをさせてしまった過去があります。

そこで厳しいですが、こんなルールを設けたのです。『もし社員同士でもめごとがあった場合は、必ず1対1で話し合って解決すること』『人の陰口は絶対に言わないこと』という2つの規則を。実際の話ですが、納得できずに喧嘩を繰り返した社員には、協議の上で会社を去ってもらうこともありました」

少し過激な話に映るが、よく考えてほしい。

法的な背景もあり、日本では会社都合で従業員を解雇することは少ない。一方で人間性に問題がある上司が可能性のある若い芽を摘んでしまったり、人間関係を理由に優秀な人材が転職してしまったりするケースが読者の会社で間違いなく起こっているのではないだろうか。

「同じ会社で働く仲間って、ある意味家族より1日の過ごす時間が長いわけじゃないですか。挨拶をしないとか、約束を守らないとか、常識がない人とずっと一緒にいるのは誰だって辛い。厳しいルールの適用には勇気がいりましたが、結果的に職場の人間関係が劇的に改善され、社員から感謝の声をもらった時は、正直、肩の力が抜けましたね」

紆余曲折を経て、今やEC領域で国内屈指の企業に成長したイングリウッド。同社が「筋肉質な組織」をつくり、独自のポジションを築くことができたのは、黒川の厳しくも愛のある育成方針があったからに違いない。「性格のいい会社」として、同社はこれからも前例のない記録を打ち立てていくだろう。

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