コロナ禍でインフルワクチン接種の重要性が増す理由

Photo by Joe Raedle/Getty Images

今年は「“ツインデミック”が起きるかもしれない」と懸念する声があることを、すでに知っている人もいるかもしれない。この「ツイン」が指すのはもちろん、世界的流行が続く新型コロナウイルス感染症(Covid-19)と、季節性インフルエンザだ。

これらが同時に発生する恐れがあるため、「インフルエンザの予防接種を受けるように」と、公衆衛生の専門家たちが呼び掛けているのだ。だが、そこで生じるのは、そのワクチンを打つべきタイミングは「いつなのか」という疑問だ。

答えのひとつとして容易に言えることは、医学的な理由がない限り、インフルエンザの予防接種は「年に一度、毎年」受けるべきものだということ。季節性のインフルエンザも私たちの健康に深刻な害をもたらす危険性があり、感染によって命を落とす場合もある。免疫系の弱い人には、特に影響が大きい。

インフルエンザの予防接種は従来、毎年10月中旬~下旬に受けるのが良いとされてきた。それは、ワクチンを打ってからその効果が十分に発揮されるようになるまでに、1~2週間かかるためだ。また、効果は時間の経過とともに弱まっていくものの、大抵は約6カ月続くためでもある。

ワクチンの効果が続く期間には個人差があり、同じ人でもその年によって違いが出ることもあるが、10月に接種を受ければ、11月の初めごろにはワクチンが効いた状態になり、インフルエンザの流行が継続している可能性がある翌年4月まで、効果が持続するということになる。

米疾病対策センター(CDC)によると、米国では季節性インフルエンザが流行のピークを迎えるのは、毎年12月~翌年2月の間。そして、流行は翌年の5月まで続く場合もある。

今年も同じタイミングで良い?


このように聞いてくると、ワクチン接種を受けるのは10月中旬まで待つべきだと思う人もいるかもしれない。だが、必ずしもそういうことではない。10月に入ってCovid-19の患者が急増して医療システムに過大な負荷がかかり、閉鎖に追い込まれる施設が出てくる可能性もある。
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編集=木内涼子

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