コロナ禍でインフルワクチン接種の重要性が増す理由

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今年はインフルワクチンが特に重要


インフルエンザに感染した場合と、Covid-19にかかった場合にみられる初期の症状には、よく似たものが複数ある。そのため、感染したのがインフルエンザウイルスなのか、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)なのか、判断するのは非常に難しい。別のウイルスに感染している場合もあるかもしれない。

また、インフルエンザにかかれば、Covid-19にもかかりやすくなる。ひとつのウイルスに感染すれば免疫系に負担がかかり、ほかのウイルスにも感染しやすくなるためだ。だが、インフルエンザの予防接種を受けていれば、少なくともインフルエンザにかかる可能性は低下させることができる。

スタンフォード大学医学部の研究者らが「米国医師会雑誌(JAMA)」に発表したリサーチ・レターによれば、SARS-CoV-2に陽性の反応を示した検体の20.7%は、少なくとも1種類の別の呼吸器病原体に対して陽性だった。

また、医学誌「Journal of Investigative Medicine:High Impact Case Reports」に掲載された論文には、SARS-CoV2とインフルエンザウイルスに同時に感染し、治療を受けたものの死亡した患者の例が挙げられている。

現在進められている新型コロナウイルスのワクチンの開発により、インフルエンザワクチンの生産・流通に影響が及ぶ可能性があるとの指摘もある。これもまた、受けられるうちにインフルエンザワクチンを打っておくべき理由のひとつだ。

そして、もうひとつの理由として挙げられるのが、「集団免疫」だ。インフルエンザが流行し始める前に、十分な数の人がワクチンの接種を受けておけば、感染の広がり方を変えたり、抑えたりできる可能性がある。

例年より(パンデミックによって)ソーシャルディスタンスの確保が実現されているなかでそうした状態を作り出すことができれば、今年はある程度、季節性インフルエンザの流行を抑制できるかもしれない。

編集=木内涼子

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