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数々の受賞歴をもつ、国際的なデザインコンサルティング会社

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パンデミック、気候変動、社会不安……めまぐるしく変化する社会で、数年先の未来も予測することがより困難になってきた。そんな中で見えてきた新たな兆しとは何か。この不確実な時代に、個人、組織は「あるべき姿」をどうアップデートしていけばよいのか──。

IDEO Tokyo エグゼクティブ・ディレクターの野々村健一が、いくつかの視点を共有する(前編はこちら)。


新型コロナウイルスが深刻化し始めた3月以降、IDEOが掲げる「人間中心デザイン」の「人間中心」という言葉に関する質問を様々な方から頂くようになった。同時に「人間中心」という言葉の生む誤解にも気付かされた。

例えば、「本当に人間だけが中心でいいんですか?」「次は社会やエコシステム中心では?」という質問もあった。「人間だけを中心に」と捉えた時の自己中心性を危険視するものだ。

IDEOの「人間中心デザイン」は、もともとは「人を理解する大切さ」から生まれた言葉なので、本来利己的な意味合いを持つものではないのだが、ある意味それだけ「社会をより良い方向へ」変えていきたいという思いが人々の中で強まっているともとれるのではないだろうか。

一方で、前述の「美意識」にあたるものは、人々の感性や文化、希望といったものから織りなされるものなので、今まで以上に「人間中心」というアプローチは大切になっていくと思う。

危機は変革のチャンス


誤解を恐れずに言うと、危機と機会が表裏一体であることは間違いない。海外でも、「Never waste a crisis(危機を無為にするな)」というフレーズを頻繁に見かける。今も私達は世界的な危機の真っ只中にいることは間違いないのだが、今までの危機との違いも感じている。

例えばIDEOの東京スタジオの立ち上げ時はリーマンショックと3.11直後ということもあり、ビジネスの観点で非常に厳しい環境であった。しかし今年の3月以降に寄せられた相談の数々は、大変な状況にも関わらず圧倒的にポジティブで、未来に向けて積極的に種を植えていく姿勢であることに驚いた。

設立から10年経ったいま振り返ると、日本のビジネス環境という意味では隔世の感がある。当時はデザイン思考のような言葉は一部のニッチな世界でのバズワードだったし、イノベーションや企業におけるクリエイティビティという文脈もまだあまり真剣に捉えられていなかった。

もちろんまだまだ足りないという意見にも頷ける。しかし、少なくとも多くの人々がこの10年間共に作り上げてきた土壌は、確実に育っていたと感じる。上記のようなマインドを持った人たちがこれをチャンスとして捉え、なにを企んでいるかと考えるとワクワクする。

クライアントとの取り組みの多くが開示できないことが残念だが、IDEOのベンチャーキャピタル・D4Vで投資をしているスタートアップには、この状況になってさらに勢いが加速した企業も多い。私達は行動変容のエッジにあるスタートアップに投資をしてきており、このような企業にとってはチャンスでもあるのだ。

文=野々村健一

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