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2020.09.14 12:30

高価格でスペックの劣るLED電球「Siphon」が支持を集める理由


「Siphon」はLED電球でありながら全面ガラスのグローブを採用し、白熱電球の光り方を再現しており、言わば空間演出用のLED電球である。
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一般発売前の2014年に応援購入サービスMakuakeで発表し、公開直後から大きな反響を呼んだ。その時、応援購入された総額は1500万円を超え、当時のプロダクト系プロジェクトの国内最高支援額を記録した。

それから6年が経ち、当初5機種で開始した当シリーズは現在80機種近くまで拡大し、全国のホテルや結婚式場、テーマパークなどで数多く採用され、設計士からの信頼も厚い。

逆張りの発想から見出した市場のニーズ


「Siphon」は大手メーカーが目指してきたLED電球とは全く違うコンセプトを持っている。「Siphon」の寿命は1万5000時間と大手メーカー品の半分以下、明るさも(白熱電球でいうと)30W相当前後で一般的なLED電球の半分ほどしかない。
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「照明=空間を明るくするもの」というものさしで考えればガラクタ同然の品物だ。しかも価格は1個3000円~7000円ほどで販売しており、大手メーカー品よりも数倍も高価である。

このお世辞にも高スペックとは言えず、値段も高い「Siphon」が、この市場から支持されている大きな理由の一つが「逆張りの発想」。大手メーカーが進んでいた方向とはまるで反対の方向に隠れていた需要を見つけた。

逆張りの例として、以下の項目を挙げることができる。

照明は空間を明るくするもの ⇄ 雰囲気を作る照明も必要
電球は明るければ明るいほど良い ⇄ 暗めの電球のニーズもある
LEDは長寿命が売り ⇄ 最低限の寿命があればいい
大量生産で安く ⇄ 多品種で高付加価値を
デザインは二の次 ⇄ デザインこそが最も重要

大手メーカーの取り組みの逆を考えた先に見えてきた市場が、白熱電球の生産終了によって先行きが見えなくなっていた「空間演出のための電球」の市場だった。

そのアイデアをプロダクトに落とし込み、改善を重ねた末にできあがったのが「Siphon」だ。それは飲食店やホテルなど手掛けている空間にこだわる設計士たちの困り事を解決するヒットプロダクトになった。

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Siphonの目指す世界は、服のような照明


私達が行っている照明事業には一つ明確なビジョンがある。それは「服を選ぶように照明を選べる世界の実現」である。

照明はインテリアの中でも重要な要素で、空間にいる人達の心理面に大きく影響する。言い換えれば照明のチカラをうまく使うことで生活をもっと充実したものにできるということだ。

それはどこかファッションに似ていないだろうか。どちらも個性を出すことによって気分をコントロールでき、日常をより良くしてくれる存在だ。

しかし、星の数ほどあるファッションブランドと比較して、照明の選択肢は驚くほど少ない。あろうことかLEDの時代になったことで製品の画一化が進んでしまった側面さえある。

私達は「服を選ぶように照明を選べる世界の実現」を目指している。照明の可能性をもっと多くの人に知ってもらうためにこれからも照明のチカラを信じ、ものづくりに邁進する。

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戸谷 大地◎1982年生まれ、早稲田大学理工学部卒。2007年に株式会社ドリコム入社。2009年に家業のビートソニックに入社。2014年にデザインLED電球「Siphon」を立案し、クラウドファンディングで1500万円以上の支援に成功。2020年4月にビートソニック代表取締役に就任。

文=戸谷大地

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