テキーラがスポットライトを浴びている理由を考えるうえでのもうひとつの要素が、セレブリティの支持が広がっていることだ。ジョージ・クルーニー、ニック・ジョナス、ドウェイン・ジョンソンといった有名人が、みずからの手がけるテキーラブランドを宣伝している。
もうひとつの注目点は、無糖で「ヘルシー」な飲料への関心が高まっていることだ。
テキーラそのものがヘルシーというわけではないが、天然成分に頼った昔ながらの製法は、口にするものに対する意識が高い、若い世代の心に訴える(テキーラの成分を細かく確認したい場合は、「Tequila Matchmaker」で調べられる)。
米国有数のアルコールEコマースプラットフォームであるドリズリーでは、テキーラカテゴリーが大きく伸びている。そのほかのカテゴリーはシェアを減らしているが、テキーラは同プラットフォームでも最大級のシェアの伸びを見せており、注文シェアは前年比で1.54%増え、前年同期の5.11%から6.65%になっている。
それに対して、ウイスキーの伸びは0.96%にとどまり、ウォッカは2.37%減少した。興味深いことに、パケットの指摘によれば、ウォッカの不調の原因はテキーラの勢いにあるという。
米国市場でテキーラカテゴリーの躍進を後押ししているのが、バラエティの豊富さだ。勢いよくあおるのに適したものもあれば、産地の風土を反映した、まったく独自の香りや風味、物語をもつテキーラも幅広くそろっている。
テキーラの躍進は今後も続くと期待していいのだろうか?
IWSRの過去の予想では、2019年から2024年までのテキーラの年平均成長率は4.7%とされていた。しかしこの予想では、パンデミックの影響は考慮されていない。
2020年には、テキーラの勢いも鈍っている。したがって、2020年末までの展望は明るいものではないだろう。とはいえ、ほかのカテゴリーに比べれば、テキーラは急成長を続ける条件がそろっている。