だが、アルコール飲料のEコマースプラットフォーム大手「ドリズリー(Drizly)」や、多くのテキーラのエキスパートによれば、テキーラをめぐる潮流は変わりつつあるという。
それを裏づけているのが、アルコール飲料分析会社IWSRのデータだ。米国のテキーラ売上を追跡した同社の調査では、2019年の販売量が、8.3%増加していた。ニールセンも同様の成長を指摘している。それによれば、テキーラの売上は前年比で54.9%増加。2020年7月25日現在で、年度累計売上は12億5000万ドルに達している。
ドリズリーで消費者インサイト部門を率いるリズ・パケット(Liz Paquette)は、「2020年1月から7月までのテキーラのシェアは6.52%だが、今夏だけを見ると、ドリズリーのテキーラカテゴリーのシェアは7.13%に増加している」と述べている。
テキーラが、いま注目されているのはなぜだろうか?
その一因は、グローバル化が消費者行動の世代的な変化を促進していることにある。それが、新たなカテゴリー、とりわけプレミアム(高品質)なテキーラに対する興味の拡大につながっているのだ(この点はドリズリーでも裏づけられている。パケットによれば、プレミアムテキーラのシェアは、前年比で4%増加しているという)。
IWSRによれば、このカテゴリーは2015年から2019年にかけて年15%の成長を見せたという。パンデミック後、プレミアムテキーラは、真っ先に堅調な成長レベルに戻るカテゴリーのひとつになるとIWSRは予想している。IWSRの予測によれば、このカテゴリーの成長は2021年までに平常の軌跡に戻るという。
プレミアムカテゴリーのこうした成長は、米国におけるテキーラの印象の変化を後押ししている。
IWSRの北米調査ディレクターを務めるアダム・ロジャーズは、「よりプレミアムで熟成された、じっくり味わいながら飲むテキーラは、これまでのテキーラのイメージの枠を超え、より洗練された印象を与えるのに貢献している」と話している。