CA州、フレーバー付きタバコの販売禁止へ 若年層への影響大

Photo by Spencer Platt/Getty Images

米カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事は、同州内でフレーバー付きタバコ製品の小売販売を禁じるカリフォルニア州法(SB 793)に署名した。これにより同法は法律として成立し、2021年1月から適用される。

州上院のジェリー・ヒル(Jerry Hill)議員(民主党、サンマテオ郡選出)が起草したこの法律は、米国肺協会(American Lung Association)および米国心臓協会(American Heart Association)からの支持を受けていた。

新しく成立したこの法律は、電子シガレットのカートリッジやフレーバー付きシガレットを販売した小売業者に250ドルの罰金を科すと定めている。約1年前の2019年9月17日には、ニューヨーク州のアンドルー・クオモ知事が、同州内でのフレーバー付き電子シガレットの販売を禁止しており、今回のカリフォルニア州の法制定はこれに続く動きとなる。

これらの州法の狙いは、ティーンエイジャーやトゥイーン(8~12歳の子ども)といった未成年者を、ベイピング(Vaping)の誘惑から遠ざけることにある。加熱式タバコや電子タバコで蒸気を吸うベイピングは現在、米国の中高生のあいだに広まっており、深刻な問題となっている。

若年層がベイピングに手を出すきっかけとなっているのが、綿あめやマンゴー、「メロンツイスト」、トロピカルフルーツといったさまざまなフレーバーだ。未成年者が軽い気持ちで試し、次第にのめり込んで抜け出せなくなるわけだ。

シガレットやベイピング製品に添加されたニコチンの含有量は、従来型の紙巻きタバコと比較して同等、さらには20倍も高いものがある。

ベイピング製品の最大の販売元であるジュール(Juul)は、オンライン販売についても21歳以上の成人に限定する措置をとっているものの、未成年層はフレーバー付きタバコ製品の最大級の市場になっているのが現状だ。さらにオンライン販売は、カリフォルニア州に発送されるものを含めて、今回の新たな州法の規制を受けない。現時点で、電子タバコの利用者の60%を、思春期の少年少女や若年層の成人、ティーンエイジャーという、25歳未満の層が占めている。

「ニコチン供給電子タバコ(ENDS)」と総称される電子タバコやベイピング用機器が、特に未成年者のあいだで人気になっていることは、懸念を招いている。さらなるタバコや違法薬物の使用につながるリスクに加え、これらの電子タバコを使用することで、命に関わる深刻な副作用が起きる危険が考えられるからだ。

2020年2月の時点で、ENDSが関与しているとされる電子タバコ関連肺傷害(EVALI)の症例は全米で2800件を越え、死亡例も68件にのぼる。

当初は、従来型のタバコを吸うよりも安全な選択肢、あるいは禁煙のツールとして宣伝されていたENDSだが、実際には、さらなる肺障害の合併症を引き起こす例や、使用者を死に至らしめる例が出ている。
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翻訳=長谷睦/ガリレオ

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