米国の「国内ノマド」 頭脳流出抑制に貢献も

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場所を問わず働く「デジタルノマド」人口が増える中、旅を取り巻く状況は変化し、ワークツーリズムの人気が上昇している。その中で米国では、海外ではなく国内を移動する「国内ノマド」が誕生している。このトレンドにより、生活費が安い地方部に転居できる人が増え、大都市への頭脳流出が防止できるかもしれない。

ノマド化する仕事


在宅勤務方針を延長する企業は増えており、有名どころではツイッターやフェイスブック、ショピファイ、グーグルがあるが、より規模の小さな企業もまた、在宅勤務で得られる健康・経済・生産性の面でのメリットに気づき始めている。

人々はもはやオフィスの近くに住むために高額な家賃を払う必要がなく、遠隔勤務が可能になっている。多くの人は、海外で働くことを考えるだろう。バルバドスやエストニアなどは現在、デジタルノマドに1年の労働ビザを発給し、自国の経済振興策として「ワークツーリズム」を推進している。

グローバルノマドよりも国内ノマド


多くの米国人にとって海外渡航は今も非常に難しく、大半の人は「国内ノマド」になることを選んでいる。

シカゴ大学は今年4月、在宅勤務に適した米都市を調査。米労働統計局(BLS)と職業情報ネットワーク(O*NET)のデータを使い、在宅勤務が可能な仕事の割合が特に多い都市として、サンノゼ、首都ワシントン、ダーハム、ニューヨーク、シアトル、オースティンを特定した。

エニープレース(Anyplace)は、77カ国で家具付き賃貸物件の月ぎめレンタルサービスを展開するスタートアップだ。同社によると、4~5月はサービスの利用状況に動きがなかったものの、利用客らは6月から7月にかけては再び移動を開始。現在の人気5地域は上位からデンバー、カリフォルニア州オレンジ郡、フィラデルフィア、ダラス、ジャクソンビルだ。

顧客の大部分は25~34歳のミレニアル世代。今はまだニッチ市場だが、国内ノマドになる人々は増えている。

大都市への頭脳流出を防止


人は通常、より良い生活を求めて移動するものであり、これにより高い適性を備えた人が仕事を求めて大都市圏に移動する「頭脳流出」が生じる。しかし新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)により人々の考えは変わった。
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編集=遠藤宗生

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