ベストセラー作家、北野唯我氏は、20万部突破の前作『転職の思考法』では書けなかった「本質」を新刊『これからの生き方。自分はこのままでいいのか? と問い直すときに読む本 』でこう問う。
北野氏は就職氷河期に博報堂へ入社し、ボストンコンサルティンググループを経て、ワンキャリアに参画。現在は同社取締役としてさまざまな領域を統括している。こうした豊富な経験を活かし、これまで著書『転職の思考法』、『オープネス』、『天才を殺す凡人』などで自身のノウハウを公開してきた。
今回の新刊では、コロナ禍で気づかされた自分の働き方への疑問や、会社との関わり、職場での人間関係の悩みなど、仕事のスキルより大事な「働く意味」について、漫画も用いて分かりやすく問いている。
北野唯我氏
以下、北野氏によるForbes JAPAN読者のための書き下ろし寄稿でお届けする。
「チームで成功事例をシェア」、その本当の意味とは
「暗黙知を形式知に変えて、組織を強くしよう」
「成功事例を型化して、みんなに共有してくれ」
大きな会社や、成長中の会社にいる人は、一度はこういう言葉を聞いたこと、あるいは発したことが、あるのではないでしょうか?
言い換えれば、誰かがうまくいった事例を「わかりやすく言語化して、展開しよう」ということです。
一般的にこの「形式知と暗黙知」と呼ばれる概念は、野中郁二郎先生が、『組織創造企業』の中で、体系化し紹介したことで有名ですが、ここまで難しく捉えなくても、「チームでうまくいった事例を、みんなでシェアしよう」という場面はたくさんあるかと思います。
Getty Images
ご参考までに、「形式知」は、言語化されたり、定義されている知恵、「暗黙知」は、まだ言語化、定義しきれていない知恵、としておきましょう。
強い言葉の特徴は「動詞」や「アクション」につながること
そして、強い会社には、この「成功例を抽象化して、皆でシェアする文化」や「それを踏まえて改善していく文化」がすべからくあるのも事実でしょう。
さて、私自身が普段から思うのは重要なこのキーワード、「形式知と暗黙知」は、「意識するのがとてつもなく難しい言葉だな」「現場で使うのが、とても難しい概念だな」ということです。言い換えれば、実際のビジネスの場において、少し使いづらい概念だな、ということです。
それは二つの理由があります。