以前からウーバーと共に自動運転テクノロジーの開発を進めてきたヤンデックスは、新会社のSDGに1億5000万ドル(約159億円)を出資し、SDGを同社の「その他部門(Other Bets)」の傘下に置く。移管手続きは2020年の第3四半期に終了する予定という。
プレスリリースによると、ヤンデックスSDGの株式の73%はヤンデックスが保有し、19%をウーバーが保有する。残りの8%はヤンデックスの関係者らが保有する。
今回のスピンオフが発表されるまで、ヤンデックスの自動運転部門は同社とウーバーが共同で設立した配車と料理宅配のスタートアップMLUの傘下に置かれていた。同社とウーバーのもう1社のジョイントベンチャーであるヤンデックス・ドライブは、ロシアの7都市に1万6000台の車両を配備し、配車やフードデリバリーを行っている。
ブルームバーグの報道によると、今回のSDGのスピンオフが発表される以前にヤンデックスは、MLUのウーバーの持ち株の買収を検討していたという。
ヤンデックスは2017年に自動運転市場に参入し、現在は130台の自動運転車両をロシアや米国、イスラエルなどでテスト走行させ、累計走行距離は400万マイル以上に達している。
同社は今年7月には、ミシガン州アナーバーで実施中の自動運転テストの模様を収録した動画をユーチューブで公開していた。
ヤンデックスCEOのアルカディ・ヴォロズは声明で「当社は、自動運転テクノロジーにより、安全で合理的なコストのモビリティサービスが実現できることを確信している」と述べた。「当社が今回、SDGに注いだ資金は、R&Dの増強や製造キャパシティの強化に用いられる」と彼は付け加えた。
ヤンデックスはデリバリーロボットを開発する企業のヤンデックス・ローバーも運営している。同社は2019年の後半からラストマイルの配送を行うボットの開発を始動させており、商用のロボット配送を実現しようとしている。
ヤンデックス・ローバーはロシア版シリコンバレーと呼ばれるモスクワ郊外の都市、スコルコボで、ロボット配送の商用化に向けたテストを重ねている。一方で、ヤンデックスSDGは自動運転サービスを、もう間もなく、米国のミシガン州やテルアビブなどで始動させる計画という。