記憶力選手権全米チャンピオンが直伝、「5つの最強記憶術」

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ドイツの心理学者・エビングハウスの実験によると、人の脳は、勉強して覚えたことを1時間後には56%忘れ、1日後には74%忘れるという。つまり、人の記憶力というのは、私たちが考える想像以上にあてにならないものなのだ。

ドナルド・トランプ政権で米合衆国エネルギー長官、47代目テキサス州知事などを歴任した米政治家、リック・ペリーは、自身が大統領になったら廃止すると宣言した3つの省庁の名前のうち1つを忘れ、国中からブーイングを浴びた。彼もこれから紹介する記憶術を知っていれば、このような重要なことを決して忘れることはなかっただろう。

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米政治家、リック・ペリー

記憶力がよくなる簡単・驚きのテクニック5つ


近ごろ物覚えが悪くなったなと思うあなた、それはたぶん気のせいではない。検索をテクノロジーに頼っているせいで、情報を頭に蓄え、引き出す能力が失われているという研究結果が少なからず報告されている。その場にふさわしい引用句を暗唱したり、歴史を詳しく語れたりすることが知性の証だったのは、それほど昔の話ではない。最近では昔ながらの記憶中心の教育が批判され、丸暗記学習を超える問題解決法を身につけさせることが望まれている。

筆者は記憶に関する記事を何本か書いており、このテーマには以前からかなり関心を持っていた。それは自分の記憶にがっかりすることが多いせいもあるだろうが、脳科学者が「脳の可塑性」と呼ぶ機能──脳が変化し、その変化を維持する機能に魅せられていたからでもある。だから人からジョシュア・フォアの著書『ごく平凡な記憶力の私が1年で全米記憶力チャンピオンになれた理由』を勧められたとき、新しい情報を得られるのかどうか少々疑いながらも興味を持った。

フォアは、平均的な記憶力の非常勤ジャーナリストでありながら、訓練を始めて1年も経たずに米国記憶力選手権で優勝したことで名を知られた。彼は記憶力選手権の競争相手と交流し、彼らの技術を学ぶことで優勝を手にした。この技術は古代ギリシャで生まれたものらしいが、これが現在でも十分通用する。

記憶力チャンピオンは、トランプひと組の並び順をほんの数分で記憶し、数百桁の円周率を暗唱することができる(このサイトでは、フォアが自分のテクニックについて語る動画が見られる)。

短い買い物リストを覚えるのもおぼつかない私は、彼の技術には学ぶべき点があるはずだと考えた。実際、学ぶところは多かった。ここで、記憶力を高めたい人に役立つフォアの提案をいくつか紹介しよう。
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翻訳・編集=小林綾子/S.K.Y.パブリッシング/石井節子

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