テクノロジー

2020.09.09 08:30

いまこそ「データ」で幸福を コロナ危機に迎えた2つの分岐点


データ活用で、最高のパフォーマンスを


データ分析の従来の活用方法は、効率性の向上とより良い事後の意思決定に重点を置いていました。新しい方法は、最高の価値を生み出すためにデータを活用することです。新しいユースケースは、複数のソースからのデータを高頻度で利用し、複数の組織のための価値を生み出します。さらにそこには、エンドユーザーとパートナー双方の利益が組み込まれています。このデータ駆動型の価値創造には、新たな価値プール、新しいビジネスモデル、ステークホルダーのより豊かな体験、より良い意思決定という4つの新しい基本形があります。

例えば、ジョンソン・エンド・ジョンソン、アストラゼネカ、グラクソ・スミスクラインなどの製薬会社10社から成るコンソーシアムであるThe Machine Learning Ledger Orchestration for Drug Discovery (MELLODDY)は、機械学習アルゴリズムのトレーニング用データをプールし、新しい抗生物質の開発を支援しています。

ブロックチェーンと連合学習を活用すれば、個々の企業のサーバーにデータを残しつつ、トレーサビリティを確保することが可能になるため、商業上の機密情報を保護することができます。MELLODYは、AI(人工知能)モデルがデータ共有のイネーブラー(実現)とレシピエント(受領)の双方を担うことになる、製薬業界におけるコラボレーションの初めての例として、コストを削減しながら、創薬、開発、市場投入のタイムスケールを加速させています。そして、ビジネスと社会のための分散型価値、共有価値の創造に向けた商業的パートナーシップの先例ともなっています。

機密性の高いデータの需要


いま、企業に新たな選択肢をもたらすテクノロジーの新しい波がやってきています。これにより、組織は基盤となる生のデータを公開することなく、洞察を得ることができるようになります。政府が求める保証を提供することで、これらのテクノロジーの採用は政府への規制圧力を軽減させます。

例えば、ポインツでは、データを使用可能にしながらも、複数の関係者にはそのデータが見えないようにするために、機密性の高いコンピューティング・フレームワークを用いています。支払いサービス提供者は、銀行が信用スコアリングおよびマーケティングモデルをポインツのデータに向けるようポインツを活用しており、彼らが受け取るのは決済後のデータです。
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文=Derek O'Halloran, Head of Shaping the Future of Digital Economy and New Value Creation, World Economic Forum; Francisco D'Souza, Co-Founder, Cognizant; Fellow, World Economic Forum

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