いまこそ「データ」で幸福を コロナ危機に迎えた2つの分岐点

膨大なデータは有効な使用でウェルビーイングを得るツールにもなる(Photo by Unsplash)

新型コロナウイルスの感染拡大による経済危機が起こっているいま、私たちはデータ活用の重要性について考える必要に迫られています。世界経済フォーラムのアジェンダからご紹介します。


・デジタル化により生まれる膨大な量のデータは、効果的に活用されれば、ビジネス、人類のウェルビーイング(幸福)、そして環境にチャンスをもたらします。
・新しいビジネスモデルとテクノロジーにより、組織は個人の権限とプライバシーを守りながら最高の価値を生み出すためにデータを活用できるようになります。
・世界経済フォーラムの報告書は、データビジネスの新しいパラダイムを促進し、精緻化するイノベーションについて強調しています。

新型コロナウイルスの感染拡大は、二重の危機を世界にもたらしました。私たちはいま、今世紀最大のグローバルヘルスへの打撃を受けると同時に、最大の経済ショックに直面しています。

これらの危機とともに訪れたのは、2つの重大な分岐点です。1つは、学校、仕事、健康、そして、家族や友人との連絡といったあらゆる場面で、私たちがデジタル技術の深い価値を実感したこと。2つ目は、おそらく達成が極めて困難と考えられている変化に対する意欲が、大幅に高まったことです。より公平かつレジリエントで、豊かな未来の構築を目指し、私たちが世界経済の基盤のリセットを急ぐ中、これらの2つの相互に関連した変数が作用し始めています。

ビジネスにおけるテクノロジーの活用は、経済および社会システムを再定義する上で重要な役割を担います。デジタル化により生まれる膨大な量のデータは、ビジネス、人間のウェルビーイング(幸福)、そして環境のための豊かな可能性をもたらします。

データの二面性


4月、中国政府は、データが、ビジネスモデル、産業の境界、市場構造を変化させている状況を鑑み、当局がデータを「新たな生産要素」として認識していることを公表しました。コミュニティ、個人、集団、複雑な自然の生態系、産業のバリューチェーンおよび材料を、より緻密にデータ主導で理解し、賢く活用するなら、ウェルビーイング(幸福)の新しい可能性を切り開いていくことができるでしょう。しかし、扱いが不適切であれば、データや分析により不平等が悪化する可能性もあります。前者は私たちが想像もできないメリットを、後者は私たちの想像通りの害悪をもたらします。

世界中のあらゆる規模の企業の未来は、データの効果的な活用にかかっています。しかし、多くの企業は、まずそのようなデータの効果的な活用における成熟度が低く、実践的な理解も不足していると感じています。データは価値の源ですが、企業の存続にかかわる風評リスク、責任、規制上の制約、企業秘密の源でもあります。さらに、価値と責任は、しばしば対極にあるものとみなされます。これらの課題は、イノベーションを妨げ、データ駆動型のイノベーションの実現を先送りにします。

しかし、いま、あらゆる分野や地域の企業が推進する、ビジネスモデルおよび技術力におけるイノベーションの新しい波が、このパラダイムを変えようとしています。
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文=Derek O'Halloran, Head of Shaping the Future of Digital Economy and New Value Creation, World Economic Forum; Francisco D'Souza, Co-Founder, Cognizant; Fellow, World Economic Forum

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