ビジネス

2020.09.08 06:30

アマゾンの新高級ファッションサイト ブランドには朗報なのか?


2. 偽造品のリスクが増える


高級品ビジネス、特にアクセサリー分野では利ざやが高く、詐欺師らが本物と見間違うような精度の高い偽造品を作る動機もここにある。アマゾンの新たなサイトに関する報道では、アマゾン独自のフルフィルメント(電子商取引や通信販売における受注から配送など一連のプロセスを指す)機能を利用できることが一つのメリットとされている。これにより、ブランドは確かにより迅速で安全な配送ができるようになるが、他の業者からの供給や返品経路を通じ、偽造品が混入するリスクも増える。

3. デパート店とブランドのような緊張関係が生じる


従来、高級ファッション品の多くは老舗デパート店で販売されていて、小売店舗とブランドの関係には常にいくつも緊張が生じていた。小売店は基本的に消費者への商品提供を制御し、競合ブランドの商品を提供し、価格やマーケティング、配置を管理したり影響を与えたりしてきた。小売店とブランドの目標は相反していることが非常に多かったのだ。

この関係ではアマゾンがデパートになり、小売店舗とブランドの間の緊張関係は消えていない。規模が大きいアマゾンは巨大な市場の力を持っているため、ブランドにとっては障壁となる。

アマゾンを通した販売に依存するようになれば、ファッション企業はアマゾンのなすがままになるだろう。そうなれば、アマゾンは売り上げから利益を上げているのに、業者の方では繰り返し圧迫を受ける状態になるかもしれない。

アマゾンは、買いたいものを既に決めていて迅速で便利なサービスを求めている消費者のための買い物方法としては、世界で最良のシステムかもしれない。しかし、高級ファッションビジネスは違う。高級ファッション分野で効果的にビジネスを行うためには、探索や発見、個人的なサービス、創造性が必要だ。

フルーツオブザルーム(Fruit of the Loom)の下着を買うことは、オスカー・デ・ラ・レンタ(Oscar de la Renta)のパーティードレスを買うことと同じではない。アマゾンにとって、提供している品ぞろえに高級品を加えることは、新たなタイプの歯磨き粉の販売を始めることほど簡単ではない。

アマゾンは、品ぞろえと利便性ではほぼ向かうところ敵なしだ。しかし、高級ファッション分野で成功できるかどうかや、将来の高級品業者にとってアマゾンでの販売が良いことなのかどうかについては議論の余地がある。

翻訳・編集=出田静

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