I cover retail, fashion, consumer behavior and consumer products.

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米インターネット通販大手のアマゾンが今月、高級ファッションサイトを立ち上げるとの複数の報道があった。アマゾンは世界最大の衣料品販売業者だが、ファッション事業の高級品セクターはこれまで扱われてこなかった。これは当然、アマゾンが成長を遂げるための分野に見える。

アマゾンはファッション分野で、ザッポス(Zappos)とショップボップ(Shopbop)の2社の買収を成功させた。ショップボップのアマゾンへの身売りでは私の会社が代理を務めた経験から言えば、アマゾンは自社の高級ファッションサイトを作る前に既存の会社を買収しようとしたはずだ。同社はぴったりの標的を見つけられなかったか、買収金額で合意できなかった可能性が高い。

アマゾンの高級品サイトがどのように機能するのかについての全容は明らかになっていない。ただ、市場でアマゾンと対面したら闘うよりも仲間に加わる方が良いと思ってしまうはずだ。多くの高級ブランドは、新たな販売経路を通して商品を売るアイデアに引かれるだろう。

しかし私には、それが良いことなのかどうか確信が持てない。理由は次の3つだ。

1. 顧客をアマゾンに掌握される


最大の問題は顧客との関係だ。アマゾンは事業のほぼ全てにおいて、同社から商品を購入した顧客の情報は自社内にとどめていて、販売企業と共有する情報は非常に少ない。

こうした仕組みにより、消費者の情報と購入者のデータを持っているのはアマゾンだけとなり、販売企業がリピート販売やマーケティングのために顧客にアプローチすることが困難、あるいは不可能になる。リピート販売はブランドの収益性の重要要素なので、これはアマゾンを利用する業者にとって大きな問題だ。

さらに、消費者を高級品販売業者から他へとそらすことで自社により多くの利益がもたらされる場合、アマゾンは、多くの商品にわたって集めたデータからこうした商品を作ることができる。これらは全て、販売業者にとっては不透明だ。

高級品事業では、顧客との関係性が他の消費者製品よりも重要だ。ぜいたくなサービスは高い利ざやを生む。顧客のこれまでの購入歴を理解することができなければ、ブランドが顧客のニーズに合わせることは難しい。アマゾンの高級ファッションサイトの仕組みはまだ明確になっていないが、業者に情報が提供されないのであれば大きな問題だ。

翻訳・編集=出田静

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