経済・社会

2020.09.08 07:00

ハワイ・オアフ島で再びロックダウン。夏に感染者が急増した「ある理由」


人口およそ141万人のハワイ州で、現在陽性反応が出ている感染者(アクティブケース)は6779人(9月6日時点)。この事態を受けて、ハワイ州ではロックダウンの措置のほか、大規模PCR検査の計画を発表している。無症状の人も無料で受けられるPCR検査で、次の発生が起きそうな地域の特定などにつながる可能性もある。

さっそく9月1日と3日に高速道路の一部を封鎖し、そこをドライブスルーのテスト会場として検査が実施された。これまでにも公園などで検査が行われてきたが、渋滞となり周辺が混雑するため、大胆にも高速道路を使う案が生まれたようだ。ハワイ州では9月14日までに、同様の検査を実施し、最大で9万人の住民の検査を行う予定だ。


8月20日から屋内外問わず、全ての集会が禁止になったオアフ島。ハワイ州は大規模なPCR検査の計画を発表した(Unsplash)

失業者と受刑者釈放


ハワイでは、いまだに大部分のホテルが3月末から閉鎖されたままだ。おまけに、わずか半年の間に2度も行われたロックダウンによって、閉店や一時休業に追い込まれた飲食店や小売店も少なくない。ハワイの失業率は7月に13.1%となり、4月の22.3%や5月の22.6%と比べると減少を見せた。だがそれでも、約8万3000人が失業状態で、今回のロックダウンによってこの失業率が再び上昇する可能性は高い。

そして、別の懸念事項もある。受刑者の釈放だ。オアフ島の刑務所では、受刑者と職員の260人が陽性となるクラスターが発生。そのためハワイ州高等裁判所は8月、陽性ではなかった受刑者のうち24人の釈放を命じた。刑務所内での感染防止のため、一部の受刑者を釈放する措置は春にも行われ、計500人以上の受刑者が釈放されている。しかし、釈放された受刑者のうち47人が数週間以内に再び逮捕されたことが地元メディアで報じられており、受刑者の釈放に大きな問題があるのは明らかだ。

ハワイはアメリカ本土と比べて、比較的治安のよい地域だ。新型コロナウイルスの発生以降も、目立った凶悪事件は起きていないが、失業などの不安感が重なることから、今後の治安に影響をもたらすことも懸念されている。

今回のロックダウンは8月27日から9月9日までの予定だが、感染者に減少が見られない場合は延長されることになるだろう。さらに大規模PCR検査の結果が出ると、今後はさらに感染者が増加すると予想できる。

当初は、ハワイの基幹産業である観光業が秋頃から再開されるものと見られていたが、先行きは不透明と言わざるを得ない。ハワイに再び明るい光が戻るまで、辛抱する時間はまだしばらく続きそうだ。

文=佐藤まきこ

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