パンデミックから命をまもるために



東京から約1時間半の観光地「箱根」。コロナ禍で客足が遠のいていたが、観光地として以外の魅力も(Getty Images)

泉山:「緑の山手線」というアイデアは面白いですね。日常生活の基盤となる「半径500m圏内のコミュニティ」が充実していて、かつ、ビジネスの際には東京と繋がりやすい。こういう条件を満たす地方都市へと移住する人は、これから現実的に増えていくかもしれませんね。

オンライン授業が変える東京と地方の関係


太刀川:今は大学進学などをきっかけとして地方から東京に移住する人は多いですが、今後は必ずしもそうじゃないかもしれない。

泉山:大学ではコロナ禍の影響でオンライン授業が行われています。学生もキャンパスに通えないので、実家にいる場合も少なくないでしょう。地方都市にいても東京の大学の授業が受けられたり、遠隔で単位互換が認められたりするわけです。そうすると、大学のあり方も変わっていくかもしれませんね。

太刀川:遠隔教育は、海外の大学でも取り組まれていますよね。特定のキャンパスを保有していないことが特徴で、学生は4年間で世界7都市に移り住みながら、オンラインで授業を受講する「ミネルバ大学」などはその代表例だと思います。そう考えると、今後は沖縄に住みながらハーバード大学の授業を受ける学生が出てきても良いわけですね。ただ、これが当たり前になると、大学に行く楽しみは少なくなってしまうかもしれない。大学の魅力の一つは、素敵な偶然に出会ったり、予想外のものを発見することだったりもするので。

社会人にとっても同様の問題があります。Zoomがあればオンラインで講演会やミーティングができてしまう一方で、リアルな場を共有することでしか生まれない偶然の出会いはめっきり減ってしまっていそうです。これからは、こういうニーズを汲み取った新しいサービスが出てきても良いのではないかと思っています。

近隣生活を充実させるサービスに注目


泉山:そういう観点からすると、私は地域に根付いた情報を検索することができるアプリ「ピアッザ」に注目しています。地域で行われている習いごとなどの最新情報を、簡単に手に入れることができるので、ママさん層は結構見ていたりします。



私は渋谷区のササハタハツ(笹塚・幡ヶ谷・初台)エリアのまちづくりの取り組みで、「ピアッザ」を知ったのですが、このようなサービスが盛り上がると、顔が見えるつながりが増えるのでいいと思います。

太刀川:近隣で役立つ情報が増えれば、外に出かける人も多くなって、そこには予想外の発見もあるかもしれませんね。

泉山:地方に住んでいるということを理由に、挑戦を諦める人が少なくなるのではないでしょうか。こういったサービスが、誰かの背中を押せる存在になっていたらすごく素敵だなと思います。

今回はウィズコロナ時代における東京と地方都市の関係の変化について話した。今後は東京一極集中が終わり、地方都市の新たな魅力が再発見されていくかもしれない。次回の対談では「過密都市の東京に求められる変化」についてお届けする。


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文=加藤朋子

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