経済・社会

2020.09.07 12:00

ロシアによる選挙干渉警告の報告書、トランプ政権が握りつぶしか

Photo by Alex Wong/Getty Images

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11月の米大統領選をめぐりABCニュースは、国土安全保障省が7月に、ロシアの干渉を「強く確信している」とした報告書の公表を差し控えていたと報じた。ロシアが民主党候補のジョー・バイデン前副大統領について、精神衛生面で問題があるとする情報を拡散させているとみられることに、警鐘を鳴らす内容だったという。
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ドナルド・トランプ大統領も同様にバイデンの精神面を攻撃する発言を繰り返しており、選挙の安全性確保を政権側が妨げているのではないかという懸念が一段と高まっている。

報告書の草案は、ロシアの関係者が選挙結果に影響を及ぼすため、「大統領選の候補者たちを、精神的もしくは身体的な問題を抱えているという主張を通じて、引き続き中傷している可能性が高い」と指摘。そうした中傷ではとくに、バイデンの精神衛生を標的にしていると言及していた。

具体的には、バイデンの失言は「認知症の症状」だなどと根拠のない情報を流しているという。トランプもまた、バイデンは精神の健康に問題があると、やはり根拠を示さずにたびたび攻撃している。
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ABCによると、報告書は連邦政府、州、地方自治体の各法執行機関に送るのに先だち、7日7日に草案が審査のために提出されたが、その1時間後、国土安全保障省の高官が、チャド・ウルフ長官代行と相談するまで「公表を控えるよう」求めたという。最終的に報告書は配布されなかった。

国土安全保障省の報道官はABCの取材に、報告書は「広く配布するには必要な文脈と証拠が欠けていた」ため、さらに審査するため公表を先延ばしにしたと説明している。

大統領選の安全性確保をめぐっては、ジョン・ラトクリフ国家情報長官が議会側に、今後は関連する情報の説明を対面では行わないと通知し、民主党から「選挙に対する外国の脅威を国民とその代表である議員に周知する責任の放棄だ」と強い批判を浴びていた。

情報当局はこれまで、前回2016年の大統領選に続き今回もロシアが干渉しており、バイデンをおとしめようとしていると公に警告してきた。民主党は情報当局に対して、選挙の脅威について透明性を高めるよう再三要求している。

一方、トランプ陣営の広報担当者ティム・マートーはABCに対し、陣営側は「いかなる外国の干渉も必要としていないし、求めてもいない」とし、トランプについて「これまでのどの米国大統領よりもロシアに厳しい態度で臨んできた」と主張した。

編集=江戸伸禎

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