ビジネス

2020.09.04

ソフトバンク出資の「デジタル治療」企業、AI活用でさらなる成長へ

metamorworks / Shutterstock.com


目指すのはAIを使った「確実な」治療


ボストンに拠点を置く同社が主に取り組むのは、AIを使って合併症を予測することだ。さらに、今後は「適切な用量の薬を適切な患者に、適切なタイミングで処方する方法を最適化」するための支援を行っていきたい考えだという。

患者が適切な投薬を受けるのは当然のことだと思われるだろう。だが実際には、特に心不全などの慢性疾患の患者の場合、それが常に実現されているわけではない。そして、米国ではそれが、不要な入院や再入院、何十億ドルもの治療費につながっている。

バイオフォーミスは、今年起きたような市場の(そして世界経済の)急激な変化にも迅速に対応することができる。COVID-19のパンデミックが発生した1月の時点で同社の事業が主に対象としていたのは、心血管疾患や呼吸器疾患、がん患者だ。だが、2月になるとすぐに、COVID-19の患者を遠隔モニタリングするための新たなプログラムを開発。香港やシンガポールなど、各国政府の対応を支援した。

パンデミックによって患者を遠隔モニタリングする必要性が高まったことで、バイオフォーミスの製品に対する需要も急速に伸びている。ラジュプットは売上高を公表していないものの、2020年上期の売上高は、前年同期の10倍に増えたという。また、同社は過去およそ1年半の間に3事業を買収。昨年には前年比で200%増となる売上高を記録している。

バイオフォーミスは米国のほか、シンガポール、スイス、インドの4カ所にオフィスを構える。従業員はおよそ150人。年内に最大250人にまで増やす計画だ。新市場への進出と、米国とアジア太平洋地域でのシェアの拡大も目指している。

編集=木内涼子

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