ニュースサイトFast Companyの9月3日の記事によると、新たに発表されるiPhoneのうち、最速の5G通信に対応するのは最上位機種の「Pro Max」のみで、しかも一部の国限定になるという。さらに、「Pro」に関しては一般的にミッドレンジの5G端末で用いられている、低いグレードの5G通信のみに対応するという。
アップルのこの決定は、多くのユーザーの批判を浴びそうだ。
5G通信においては、ミリ波とサブ6GHzの2種類の電波が用いられるが、ミリ波は超高速な通信速度を実現可能だが、電波の届くエリアが狭く、障害物に弱いという弱点がある。一方で、サブ6GHzは電波が届きやすいものの、通信速度の面で大きな改善にはつながらない。
Fast Companyによると、iPhone 12シリーズのうち速度の速いミリ波の5Gに対応するのはiPhone 12 Pro Maxのみであり、しかも、韓国や日本、米国で発売される端末のみになるという。その他の地域で販売されるPro Maxは、速度の遅いサブ6GHz対応となる。
さらに、iPhone 12や12 Plus、12 Proは全てサブ6GHzのみに対応する。「ミリ波の5Gがメルセデス・ベンツだとすると、サブ6GHzはトヨタのカムリだ」とFast Companyは書いている。一方で、サムスンのGalaxy S20シリーズはミリ波の5G対応となっている。
しかし、アップルは一体なぜ、このような不可解な決定に至ったのかという疑問も浮かぶ。筆者は、今回の決定の背景には、アップルがiPhone 12シリーズのバッテリー容量を縮小することがあると考えている。ミリ波の5Gはサブ6GHzよりも多くのバッテリーを消費するため、バッテリー切れの問題に直面する可能性がある。
人気のユーチューブチャンネルEverythingAppleProのフィリップ・コロイは今年7月、iPhone 12シリーズのバッテリー容量が、昨年のiPhone 11シリーズを約10%も下回ることになると述べていた。コロイによると、アップルは、バッテリー容量を縮小する一方で、スマートバッテリーケースを別売りで発売する計画なのだという。
安価な4Gモデルが来年発売される可能性
一方で、価格に敏感な消費者にとって嬉しい報せと言えるのが、Fast Companyが既に報じた、4G通信のみに対応する廉価版のiPhone 12 Proが、来年初めに発売されるというニュースだ。この廉価版モデルは、5G対応版よりも最大200ドルも安価な価格設定になり、しかもバッテリー寿命が、大幅に伸びるという。
4G版のiPhone 12 Proには他にも大きなメリットがあり、大幅なパフォーマンスの改善や、カメラ機能の強化も実現されるということで、非常に魅力的な端末になりそうだ。
一方で、待望のiPhone 12シリーズの発売は、以前の予定よりもさらに先送りされ、10月の末になるとの説も浮上している。