経済・社会

2020.09.05 08:00

空港での水際対策、自主隔離 濱口秀司のコロナ禍「日本入国体験記」


5. 待機場所へ。噂のダンボールベッドも


「入国ロビーに入って左奥に進んだスペースに番号の振ってあるダンボールでできたソファー兼ベッドが並んでいます。そこに1人ずつ入って、さらに追加の質問票に記入しながらバスを待ちます。係員の方がこられて、特殊な事情で早くホテルから出たいなどの希望を聞かれた上で、ホテルの部屋番号や僕の名前、PCR検査番号が書かれた紙を渡されます。『なんで僕の名前知ってるんですか?』って聞いたところ、飛行機が到着する時点ですでに乗客名簿と照らし合わせて番号を振ってるということでした」

簡素なダンボールベッドが物議を醸した時期もあったが、濱口さんはむしろめったにない経験からこんなことを考えていた。

「はじめはダンボールベッドで2日間くらい過ごす覚悟だったんですよ。ただ問題は、そこで機密性の高い仕事ができるのかどうか。ウェブ会議はさすがに周りに人がいたらできないので、パブリックなWiFiを確認して遅ければ自前でネット環境を整え、多目的トイレにこもってそこを自分のミーティングルームにしちゃえばいいや、なんて思っていました(笑)」


仕切りの中はダンボール板が1枚のみで、プライバシー確保は期待できない。海外からの帰国者が多かった3月頃は、隔離のためのホテルの確保が間に合わず、ここで寝泊まりしていたことが報じられている。

6. ビニールで車内を覆われたバスでホテルへ


「ホテルがどこになるかは事前に教えてくれません。窓もカーテンが閉められた上からビニールがかけられてるので外も見ないし、どこを走ってるか全然わからなかったです。ホテルに入ると、パーテーションで順路が作られていてホテルのレセプションはスキップして一気にエレベーターホールまで連れていかれます。そこから部屋の前まで、ホテルの従業員が案内してくれます。鍵の受け渡しなどもなくて、完全に接触を避けるような仕組みになっていましたね。室内に入って自分がどのホテルに入ったのかわかりました」

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文=田中舞子

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