空港での水際対策、自主隔離 濱口秀司のコロナ禍「日本入国体験記」

濱口秀司(ご本人提供)


ホテルのドアには、「お食事の配付中は絶対にドアを開けないで下さい。弁当ガラはドアノブでなく床において下さい」などと、細かい指示が書かれた紙が貼ってあった。


7. ホテルの隔離生活は意外と快適に


「ホテルには従業員の方と検疫チームの人たちがいます。質問や要望があれば部屋から内線でかけられるし、みなさんすごく優しくて気を使ってくださいます。通常は18時まで内線で対応してくれるのですが、到着した日は不安な方も多いだろうということで、かなり夜遅くまで対応するという方針で、すごく日本を感じました」


写真に映る食事には、おかずの入った弁当、おにぎり、照り焼きハンバーガー、インスタントの味噌汁とお茶が用意されている。量も多めに用意してあるようだ。

「お弁当の支給は1日3回で時間が決まっています。時間になると『廊下に出ないでください』という館内放送がかかって、配り終えるとまた放送で教えてくれます。書類なども書き終えたらドアの前にマグネットで貼るようになっていて、極力接触がないように管理が徹底されています。お弁当は文句が出ないようにか、バラエティ豊かでいろんな要望に答えるセットになっていました」


「入所者の皆様へ」と書かれた案内には、手洗いの仕方などに加えて「エコノミークラス症候群予防のための体操」もイラスト付きで説明されており、心身ともにストレスのかかる隔離生活を強いられている宿泊者への配慮が感じられる。

「ホテルを出所する時間も厳しく管理されています。僕の場合は仕事の事情を考慮してもらい、入国の翌々日、朝一番早い午前7時に検査結果を知らせてもらいました。夕方入国だったので、隔離は2泊、実質1.5日でした。PCR検査の結果は、陰性。

ただし、朝7時30分から8時30分の間はお弁当を配っているので出られないと。なので、8時30分に出ることにしてもらいました。部屋を出る際は鍵は開けっ放しでいいと言われました。チェックアウトのプロセスもありません。出所の時間は、他の出所者との接触を減らすためにきっちりスケジュール管理されていると思います」

8. PCR検査結果が判明。その後は、2週間の自主隔離



検査が陰性と出た人は、政府が用意した隔離ホテルから出ることができる。その後、自身で確保したホテルなどに移り14日間の自主隔離期間に入る。PCR検査やその結果を待つ際のホテル滞在費用は政府負担だが、自主隔離中の滞在費用はもちろん自費だ。受け入れに対応しているホテルかどうかは、予約時に自分で確認しなければならない。

「僕の泊まったホテルでは、ホテル内のジムやレストランは使えないルールでした。外には散歩にでかけてももいいんですけどね。部屋は3日ごとに移動で、食べ物が必要な場合はルームサービスを部屋の前に用意してくれます。僕と同じような入国者は、フロアが決まっていてフロアレベルでゾーン管理されていました。あとランドリーサービスは、まず僕の服を48時間保留してから洗ってくれます。なので、出してから3日後に返ってきます。僕はすでに陰性という結果が出てるんですが、この徹底ぶりです。そして入国日を0日としてそこから14日目に自主隔離期間が終了します」

8月12日、入国日から14日間の自主隔離期間が終わった。

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文=田中舞子

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