経済・社会

2020.09.05 06:00

グーグルの独禁法提訴を急ぐ米司法省に「トランプ寄り」との批判

米国司法省 ウイリアム・バー長官(Chip Somodevilla/Getty Images)

米国司法省 ウイリアム・バー長官(Chip Somodevilla/Getty Images)

米国司法省のウイリアム・バー長官は今月にも、グーグルの親会社アルファベットを反トラスト法(独占禁止法)違反で提訴する計画だと、9月3日のニューヨーク・タイムズ(NYT)が報じた。

しかし、調査に参加する弁護士らは、提訴の準備にはもっと時間が必要だと述べており、バー長官が手続きを急ぐのはトランプ政権に恩恵をもたらすためだと指摘する声もあがっている。

NYTによると、司法省はグーグルの調査に関与する弁護士らに、9月の末までに訴状をまとめるよう要請したという。この調査は昨年6月に開始されたもので、グーグルの検索エンジンビジネスに焦点を置いている。

しかし、調査に参加する一部の弁護士らは、バー長官が11月の大統領選挙の前に提訴を行い、トランプ政権に手柄を立てさせることを懸念している。バー長官を巡っては、以前からトランプ政権寄りとの批判が出ており、民主党はバー長官が司法省の独立性を放棄し、大統領を支援していると非難していた。

NYTによると、調査に参加する弁護士の大半は、9月末までという期限に反発しており、訴状にサインを行わないと主張する弁護士や、事件から完全に離れることを選んだ弁護士も居る模様だ。

テック業界の調査を監督するのは本来は、副司法長官のジェフリー・ローゼンの役割だが、グーグルの調査に関してはバー司法長官が定期的に報告を受けてきた。

グーグルを反トラスト法で提訴することについては、民主・共和の両党の議員が賛成しているものの、州の検事総長らはその進め方に反発している。さらに、民主党は共和党が調査を急ぎすぎていると批判し、共和党側は民主党が意図的に調査を遅延させ、彼らが誕生を望むバイデン政権下でそれを進めようとしていると非難している。

グーグルは欧州では既に独禁法関連の調査を受けており、EUは同社がウェアラブル企業のFitbitを21億ドルで買収したことが、オンライン広告分野での独占的地位の強化につながることを懸念している。

米国議会は7月29日にアマゾンやアップル、フェイスブック、グーグルのCEOらを招いた公聴会をオンラインで開催し、反トラスト法関連のヒアリングを行っていた

編集=上田裕資

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