ビジネス

2020.09.09 07:00

「コミュ障」のまま、仕事で一流の結果を出し続ける方法

キャスター取締役 石倉秀明氏(写真右)とJリーグ栃木SC取締役/マーケティング戦略部長 江藤美帆氏(左)

キャスター取締役 石倉秀明氏(写真右)とJリーグ栃木SC取締役/マーケティング戦略部長 江藤美帆氏(左)

コミュニケーションに関する悩みを抱えている人は多い。「困難から逃げてはいけない」「苦手を克服しなければ」──そう考えて、なんとかコミュ力を高めようと躍起になっている人もいるだろう。
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人材サービスを手がけるキャスターの取締役・石倉秀明氏の著書コミュ力なんていらない 人間関係がラクになる空気を読まない仕事術は、そうした価値観に対するカウンターだ。自ら「コミュ障」だと公言する石倉氏が、苦手なことを逃げながら成果を出すためにどのようなことを実践してきたのかが綴られている。

今回は、そんな石倉氏と、旧知の仲であり、Jリーグ栃木SC取締役/マーケティング戦略部長を務める江藤美帆氏(通称:えとみほ)との対談をお届けする。2人とも「コミュニケーションが苦手」でありながら、どのようにその苦手と付き合い、会社や組織を率いて結果を出してきたのか。語り合ってもらった。

「邪魔をしない」というマネジメント


──お二人は元々お知り合いだそうですが、以前から「コミュニケーションが苦手そう」という印象はありましたか?
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石倉秀明(以下、石倉):僕は以前から、えとみほさんはコミュニケーションがそこまで得意ではないのかもしれないと思っていました。マネジメントなんて、特にやりたくないのではないかと。でも、SNSで発信する時の文章はとてもわかりやすいし的確だから、あれだけ見ていたら、まさか「コミュニケーションが苦手」だなんて思えないですよね。

えとみほ:それはよく言われます。「会うと案外大人しいんですね」とか(笑)。

石倉さんは著書の中で「自分は共感力がない」と書かれていますよね。実は私も「共感力」がないんです。

そのせいで、中高生時代はとても苦労しました。友達と「わかる!」とか「かわいい!」といったコミュニケーションを取らないといけない場面で、私は「え?そんなにかわいいかな……」と疑問を抱いてしまうことが多かったんです。

でも、20歳のときにアメリカへ留学して意識が変わりました。向こうは日本のような同調圧力があまりないんですよね。それでやっと「自分はこのままでもいいんだ」と思えるようになりました。それ以来、コミュ力を高める努力をしたことはないし、むしろ失敗ばかりです。

──これまで、どのような失敗があったのでしょうか?

えとみほ:私の場合は、学校を出てすぐにフリーランスで働き始めたので、仕事の方法を誰かに教わることがないまま生きてきたんですね。

だから、会社でマネジメントをする立場になっても、「1から10まで教えてほしい」という人に対して、つい「自分で考えなよ」と思ってしまったり、部下が失敗したときにも、「なぜできないの?」と責めてしまったりすることがよくありました。「冷たい人間」だと言われたこともあります。

でもいまは、発想を変えて、全員に対して「できる人だ」という前提でコミュニケーションを取るようにしています。何か失敗したときでも「できるはずなのに、あなたらしくないね」と伝えたりすると、うまくいくことが多い。

人のやる気って、すぐになくなってしまうんですよね。しかも回復するまでに、すごく時間がかかる。だから、とにかく自信を失わせるような発言はしないように気をつけています。
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文=村上広大 撮影=伊藤勝巳(石倉)

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