北朝鮮関与の仮想通貨窃盗、米当局が口座差し押さえへ提訴

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米司法省は、北朝鮮のハッカーらによる仮想通貨取引所へのハッキング2件について、関連する仮想通貨口座の差し押さえを求める民事訴訟を起こした。ハッカーらは数百万ドル相当の仮想通貨などを盗み出し、中国の店頭取引(OTC)トレーダーを通じてマネーロンダリング(資金洗浄)していた。司法省は訴訟を通じて資金の回収をめざしている。

訴状によると、1件目のハッキングは2019年7月に行われ、仮想通貨や「Proton Token(プロトン・トークン)」などのトークン計27万2000ドル(約2890万円)相当が盗まれた。2件目は2019年9月、ブロックチェーンの「Algorand(アルゴランド)」を主に扱う米国の取引所が攻撃され、250万ドル(約2億6500万円)近く相当の被害が出た。

北朝鮮による仮想通貨の窃盗をめぐっては、今年これより前、2018年に起きた別の仮想通貨取引所へのハッキングに関連して刑事訴訟と民事訴訟が起こされている。その後、内国歳入庁(IRS)犯罪捜査局は、韓国の仮想通貨取引所がハッキングされていたことを把握した。

このハッキングに関与した北朝鮮のハッカーらは、2億5000万ドル(約265億円)近く相当の仮想通貨を盗み出していた。盗まれた仮想通貨は最終的に146前後の仮想通貨口座に分散して入金されており、司法省は今年3月、これらの口座の差し押さえを求める訴訟も起こしている。

捜査にかかわった連邦捜査局(FBI)シカゴ支局担当特別捜査官のエマーソン・ビュイ・ジュニアは、今回の提訴について「北朝鮮のアクターがインターネットの匿名性の中に自らの犯罪を隠し通せないことを示すものだ」と強調。「国際的な仮想通貨ロンダリングスキームはわれわれの金融システムの信頼性を世界規模で損なう」と危機感をあらわにし、あらゆる手段を用いてこうした犯罪を捜査し、阻止していく考えを示した。

編集=江戸伸禎

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