大坂なおみの抗議行動、故コービー・ブライアントも影響?

Photo by Recep Sakar/Anadolu Agency via Getty Images

2019年のテニス全米オープンに出場した大坂なおみの2回戦の試合には、米プロバスケット(NBA)の元スター、コービー・ブライアントが顔を見せていた。また、同じ関係者席には、元ナショナル・フットボール・リーグ(NFL)の選手、コリン・キャパニックの姿もあった。

このとき大坂はブライアントについて、「コービーが私に現実的なアドバイスを与えてくれていたことは、誰もが知っています」「彼はアスリートとしても、人としても尊敬する人です」と話していた。

そのブライアントが、今年1月にカリフォルニア州で起きたヘリコプターの墜落事故で犠牲になっていなければ、42歳の誕生日を迎えていたはずの8月最終週、大坂は出場していたウエスタン・アンド・サザン・オープンの準決勝の試合を「ボイコットする」と発表した。

父親がハイチ出身であり、同国にルーツを持つ22歳の大坂はその後、スポーツ専門チャンネルESPNの取材に対し、次のよう語っている。

「コービーと知り合い、個人的に話せるようになったことを、信じられないほど幸運なことだと思っています。何をするにしても、コービーに怒られるのではなく、誇りに思ってもらえることをしたいのです」

リーダーというよりフォロワー


ミネソタ州ミネアポリスで5月25日、黒人男性ジョージ・フロイドが白人警官に殺害された事件とその後に起きたさまざまなことを、大坂は注意深く見続けてきた。

ほかのスポーツの選手たちが相次いで抗議の声を上げるなかで、自らの声が“持ち得る影響力”を、より意識するようになったという。そして、“自身の目で見て情報を処理する”機会を得ようと、実際にミネアポリスにも足を運んだ。

「(新型コロナウイルスのパンデミックで)外出が制限されていた期間、いろいろなことが起きるのをずっと見ていました」「テニス界でも、誰かが何かを始めてくれたらいいのにと、ずっと思っていたのです。正直なところ、私は率いるというより、後に付いていく方なので」

「私はただただ、待っていました。ですが、気が付いたのです。私がその最初の一歩を踏み出す人になるべきではないのかと」

そして、ウィスコンシン州ケノーシャで8月23日、3人の子を持つ29歳の黒人男性、ジェイコブ・ブレイクが白人警官に背後から銃を7回発砲される事件が起きたことを受け、大坂はついに行動を起こした。

ボイコットを表明した大坂に対し、女子テニス協会(WTA)のスティーブ・サイモン最高経営責任(CEO)は電話で、全面的にサポートすると伝えたという。また、どちらも黒人のテニス選手、スローン・スティーブンスとコリ・ガウフ、人権活動家でテニス界のレジェンドでもあるビリー・ジーン・キングも、大坂の決断を支持するコメントをツイッターに投稿した。

大坂は自身のボイコットによって大会日程がずれたことで、ほかの選手のスケジュールに悪影響が及ぶことを最も恐れていた(WTAの支持を得たことで、大坂は準決勝に出場、勝利した)。だが、彼女がこの件で話をした人たちは、誰もが協力的だったという。

大坂が勝ち進んだ決勝戦は、より多くの人の関心を引き寄せ、再びブライアントへの敬意を示す機会にもなっただろう。大坂は、「NBAでは皆が(同じ「ブラック・ライブズ・マター」の)シャツを着ています。テニス界でも、(この問題への)認識を高めたかったのです」「自分のすべきことを、したと思います」と述べている。

大坂が準決勝の試合をボイコットすると発表した26日には、NBA、女子プロバスケットボールリーグ(WNBA)、メジャーリーグ、そしてメジャーリーグサッカー(MLS)も、試合を延期していた。

編集=木内涼子

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