スポーツ選手はよく眠る。ビジネスアスリートも「戦略的快眠」で勝て

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「寝不足で疲れが取れず、朝から気だるい」「日中、眠気がつきまとって仕事に集中できない」「ベッドに入ってもしばらく眠れない」「多忙で睡眠を十分にとるのが難しい」

日本のビジネスパーソンの3人に1人が、このような睡眠に関する悩みを抱えていると言われている。

忙しい現代のビジネスパーソンにとって、睡眠時間は削る対象となりがちだ。しかし、誰にでも今日から実践できて、すぐに効果が現れ、最短で一流に近づくための最強のビジネススキルは何かと問われれば、間違いなく「睡眠」だといえる。

一流の睡眠』の著者、裴英洙氏は、医師であると同時に、MBA、コンサルタントという、「3足のわらじ」を履く異色の経歴を持つ。

同書では、医師とビジネスパーソン、両方の視点と経験を持つ著者により、32もの「睡眠メソッド」がわかりやすく解説されている。

多忙な毎日を送りながらも、効率的かつ効果的に睡眠をとって仕事のパフォーマンスを上げ、最速で「一流のビジネスパーソン」になるための睡眠メソッドを、同書の一部から抜粋して公開したい。


ビジネスパーソンに必要なのは「体の休息」ではなく「脳の休息」


スポーツ選手はよく眠る、というさまざまな医学的データがあります。たとえぽサッカー界のトップアスリートであるC・ロナウドやリオネル・メッシがロングスリーパーであることは、メディアでも報じられています。

アスリートがトレーニングの効率を高めるためには、睡眠と食事が生命線だと言われます。寝ついてから約3時間後に現われる「ノンレム睡眠」時には、成長ホルモン
が多量に分泌されます。成長ホルモンは、その名の通り子どもの成長を促進する一方、大人にとっては、傷ついた細胞をケアし,修復を進めてくれる物質です。

アスリートは、日中の激しいトレーニングで筋肉や関節など体中を痛めつけています。だからこそ、睡眠中の成長ホルモンがたっぷりと分泌されるように、しっかりと睡眠をとる必要があるのです。

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十分な睡眠がとれないと、ホルモン分泌のバランスが崩れ、疲労回復が思うように進みません。もちろん、脳の疲れやメンタルの疲れも取れません。アスリートにとって、適切な睡眠は運動中の事故を防ぐことにも役立つのです。

スポーツ界のアスリートと比べて、体よりも「目」を酷使し、時間に追われて精神的ストレスがたまりやすいのが、現代の「ビジネスアスリート」の特徴です。

運動後の筋肉の痛みや、血中に疲労物質がたまる身体的な疲労は、栄養を摂って眠れば、比較的早期に回復します。しかし、脳の疲労回復には、より深く睡眠をとり、心も体も休めることが不可欠です。脳に疲労がたまると、自律神経系、免疫系、内分泌系、血流や血圧など、体のいろいろな面に悪影響を及ぼすためです。

つまり、一流のビジネスパーソンは、トップアスリートと同等、もしくはそれ以上に睡眠を重視する必要があると言えます。
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文=裴英洙

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