私たちの「3つの疲れ」を解りで解消する
ビジネスパーソンの疲労には3種類あります。
1つ目は、肉体的疲労です。肉体的に疲労している状態とは、簡単に言えば「筋肉を動かすためのエネルギーが不足している状態」です。ガソリンが切れた車が動かな
いのと同じように、私たちの体もエネルギー不足の状態では力が出ません。
さらに、疲労物質が悪さをします。以前は、「乳酸こそが疲労物質である」という説が有力でしたが、近年の研究では、乳酸だけで疲労を説明するのは誤りになりつつあります。さまざまな疲労物質が体に蓄積した結果、疲れやだるさ、筋肉の張りといった症状になって現われるのです。
だったら、1日中筋肉を動かさないでじっとしていたら肉体的疲労と無縁になれるのかといえば、そんなことはありません。筋肉は適度に動かさないと萎縮し、どんどん弱くなっていきます。疲れるのがいやだからと体を動かさないでいると、かえって疲れやすい体をつくってしまうことになるのです。
また、同じ姿勢で椅子に座り続けるなど、一部の筋肉に長時間緊張を強いると、そこに疲労物質が潜まりやすくなります。デスクワークだけでも足腰が疲れるのは、このためです。
2つ目が、精神的疲労。これは、人間関係や悩み事などのストレスを原因とする「心の疲れ」です。体はどこも悪くないのに,緊張やプレッシャーが続いてなんとな
く元気が出ないことがあるなら、それは心が疲れているサインです。
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気分が沈んで憂修だ、イライラすることが多い、食欲が出ない、眠りにつけない、朝早くに目が覚める、不安になることが多いなどが、精神的疲労の代表的な症状で
す。放っておくと「うつ」を引き起こすことにもなります。
3つ目の疲労は、神経的疲労です。長時間のデスクワークや細かい作業などで眼の神経や脳が緊張した状態が統くことによって起こる「頭の疲れ」です。
神経的疲労が続くと、集中力が低下したり、もの覚えが悪くなるなど仕事のパフォーマンスが確実に落ちてきます。パフォーマンスを求めるビジネスパーソンにとっては一番やっかいな疲労かもしれません。
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これら3つの疲労は互いに密接に関係し、放っておくとお互いがタッグを組んで悪さをするようになります。そして、なかなか解消できない、こびりつくような疲労へ
と発展してしまうのです。
たとえば、精神的疲労の症状が悪化すると、動悸がしたり、めまいがひどくなるなど、体の症状となって表われます。心と体は密接に結びついているのです。
肉体的な疲労に対して、マッサージはもちろん効果的です。精神的な疲労に対して、ストレス解消のための友人との飲み会は有効でしょう。神経的な疲労に対してはスポーツも良いかもしれません。
しかし、睡眠は、3種類の疲労すべてに効果を発揮します。あなたが少しでも「疲れている」と感じるなら、何より先に取り組むべきは、マッサージでも飲み会でもなく、睡眠習慣の改善なのです。