株式相場のプロが警告する「2番目の底」で市場崩壊のリスク

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8月の株式市場は例年であればさほど値動きが起こらない月だが、ここ4週間ほどの市場は並外れた上昇を遂げ、いくつかの記録的な高値が記録された。しかし、歴史を振り返れば、今後の数ヶ月のうちに投資家にとって重大な事態が生じる可能性がある。

今年8月31日の株式市場は1984年以来で最高の8月を締めくくり、S&P500は7%以上上昇し、新型コロナウイルスのパンデミックによる損失を帳消しにした。ここ1ヶ月間、企業収益は予想以上に好調で、景気刺激策の協議は物別れに終わったが、誰もが今後を楽観しているかのようだ。さらに、米国での新規感染者数も減少に向かったと、Sevens Report創業者のTom Essayeはレポートで述べた。

しかし、堅調な企業収益はコスト削減やレイオフと引き換えに実現されており、「この状況が続けば、今後の数ヶ月で経済は縮小に向かうだろう」と彼は続けた。

LPL Financialのチーフ・マーケット・ストラテジストのRyan Detrick も、「投資家は過去を振り返り、9月が年間で最悪の月であることを認識しておくべきだ」と述べる。LPLのデータによると、過去に8月の市場が5%以上の上昇となったケースは1986年と2000年の2回が確認されているが、いずれの場合も9月のS&Pは大きく下落し、それぞれ8.5%と5.4%の落ち込みになっていた。

Detrick はさらに、2020年の大統領選挙を前に不確実性の高まりにも注意を払うべきだと述べる。「選挙の年は9月も10月もマイナスの傾向があり、特に10月は年間で最悪の月となっている」

8月の株価の上昇は相場を記録的水準に押し上げ、2020年の弱気相場を正式に終わらせた。ここ一カ月の急騰で、S&P500とダウ工業株平均は、パンデミックによる急落から完全に立ち直っている。3月23日に市場が急反発して以来、ダウとS&Pはともに55%以上上昇している。

Bespoke Investment Groupのデータによると、4月以降に発生したS&P500の35%以上の上昇は、1938年以来で最も力強い5ヶ月間となった。

しかし、Sevens ReportのEssayeも、「ほとんどの人はその危険を認識していないが、2021年の初めに2番目の底がやってくる可能性がある」と話す。「私の考えでは、米国経済は2021年の半ばまでは、危機から脱出できないはずだ」

アリアンツ・インベストメント・マネジメントの投資ストラテジストのCharlie Ripleyは、「景気刺激策、特に連邦準備制度理事会からの過去最大規模の支援が、経済回復の初期段階を支えてきたが、ワシントンでの財政の行き詰まりが景気回復を岐路に立たせている」と分析する。

8月中旬には別の刺激策が予定されていたが、議員らはその規模や見通しに関する議論で、決着できなかった。新たな合意が得られるのは、少なくとも9月下旬以降になりそうだ。

編集=上田裕資

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