レゴジャパンは、今年の5月に「大人のレゴ戦略」を発表した。子供をターゲットにした従来の「知育玩具」のイメージとは一線を画する、自分の趣味の時間を大切にしたい大人に向けたハイクオリティなラインナップだ。
元々、ピース数が多く構造が複雑な商品は発売されていたが、改めて大人に向けた「戦略」として力を入れていくという。なぜいま、「大人のレゴ」なのか。その理由や狙いについて、レゴジャパン代表取締役社長の長谷川敦氏に聞いた。
リラックスできる時間をどう捻出するか
──今回「大人のレゴ」を戦略として打ち出した経緯について教えてください。
現代人は本当に多忙な時間を過ごしています。特に近年、ワークライフバランスをどう取るかという問題意識の高まりとともに、日頃のストレスから解放されてリラックスできる自分の時間を確保したいというニーズが非常に強くなっているのを感じます。
デンマークにあるレゴの本社が行った調査でも、成人男性の73%が「リラックスするための新しい方法を探している」という回答結果が出ました。その方法の1つとしてレゴに没頭することを提案したいという思いから、「大人向け」という考えに至りました。
レゴというと、子供に愛される遊具ブランドというイメージがあるかもしれませんが、大人の皆さんにもぜひレゴを愛してほしい。皆さんが持っているのに普段は忘れている「自由な子供心」を、ぜひレゴに触れて発揮していただきたい。
そんな思いから、私たちレゴグループでは、新型コロナウイルス感染拡大による外出自粛が起きる前から「大人のレゴ」戦略について構想していましたが、この自粛期間をきっかけに、世界中でライフスタイルの変化が一気に加速したと感じます。
多くの人が長い「おうち時間」を経験したことで、家の中でできる遊びや創作活動が、心身をリフレッシュするためにメリットが多いことを実感されたのではないでしょうか。従来のコアなレゴファンだけでなく、これまでレゴをやったことがない人がこの期間にレゴで遊んでくれましたし、検索数やショップへの来店人数も増加し、売り上げも増えています。