没頭して、無心になれる。レゴジャパン「大人向け」戦略の狙い

レゴジャパン代表取締役社長 長谷川敦氏(撮影:小田駿一)


──製品の企画はどんなふうに行われているのでしょうか?

私たちは「Passion Point(パッション・ポイント)」という言葉を使っているのですが、つまりは「コアなファンがいる分野」をセレクトして、製品の企画を行っています。例えば、乗り物、世界の街、遺跡、アート、音楽、スポーツなど、とても高い興味を持ち続ける人が多い分野を狙って、開発を進めています。

製品は国ごとではなく、世界に向けたものをデンマークのレゴ本社で開発しています。この「Passion point」も、世界共通なことが多いので、世界的に人気のある分野に合わせて展開していくというのが、レゴの考え方です。

これまでは、スター・ウォーズだったり、フィアットだったり、キャラクターなど海外発のIPを使ったシリーズを発表してきましたが、これからはどんどん日本発のIPともコラボして行けたらと思っています。

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LEGO(R)Nintendo Entertainment System

製品をつくる側の私たちも、普段から「遊び心」をとても大切にしています。月に1度レゴジャパンの全社会議があるのですが、2時間の会議のうちの1時間はみんなでレゴを使ったゲームをするのが決まりです。年に一度は、世界のレゴで働く全社員が1日会社をクローズして、レゴで遊ぶ「play day」もあるんですよ。

レゴはリアリティに近いものをつくる楽しみもありますが、プラモデルではないので、自分だけの想像力を発揮して、どんどん改良したり、進化させたり、違う色のパーツを使ってみたり、遊び心でたくさん楽しんでもらえたら。必ずしも設計図通りに作ることが正解ではないんです。レゴに正解はありませんから。

すべてを忘れて没頭できる、そして子供のように無心になれる時間というのは、大人になるととても貴重ですから。そういう貴重な時間を、レゴに取り組むことで過ごしてもらえたら嬉しいですね。

文=松崎美和子 写真=小田駿一

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