パンデミックも一因か、国籍を放棄した米国人が記録的な数に

Photo by Spencer Platt/Getty Images

米国籍を放棄する人が急増していることが、米ニューヨークの会計事務所バンブリッジ・アカウンタンツ(Bambridge Accountants)が2020年8月9日に公表したデータで明らかになった。

2019年の12か月間で米国籍を放棄した人は2072人だったが、2020年前半6か月で放棄した人は5816人に上る。2020年1月から6月までに米国籍を放棄した人は、その直前の2019年7月から12月と比べて1210%上昇している。

放棄の手続きでは、米政府に対して2350ドルを支払う必要があるほか、外国在住者であれば、居住国の米国大使館に出頭しなければならない。米国内国歳入庁(IRS)の規定にのっとり、米国政府は3か月ごとに国籍を放棄した人全員の氏名を公表している。

国籍放棄という大きな決断を下した人の圧倒的多数は米国以外の国に住んでおり、放棄の理由はさまざまだ。たとえば、米国の政治情勢を理由に挙げる人もいる。今年2020年に放棄者が記録的な数にまで急増したおもな要因のひとつが、新型コロナウイルス感染症パンデミックをめぐる米国政府の対応への不満であることも十分考えられる。

これまでは、税申告も主要な国籍放棄の理由に挙げられてきた。米国籍を持つ人は、たとえ外国に住んでいても、毎年の納税申告、ならびに外国の銀行口座と、投資や年金による所得の報告が義務づけられており、そうした面倒な手続きから逃れたいと考える人もいる。とはいえ、納税申告をしていた外国在住米国人は今年、ありがたい恩恵を享受した。米国政府がパンデミックを受けて導入した景気刺激策で、外国に住んでいても大人1人につき1200ドル、子ども1人につき500ドルが支給されている。

米国籍の放棄者、または米国長期滞在を打ち切った人の数


1998年: 398人
2020年(1月~6月): 5816人

翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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