商店街に希望? 新型コロナで「半径500mのつながり」が再評価

新型コロナの影響で商店街のようなコミュニティが再評価されている(Unsplash)

シャッター商店街の増加が社会問題となってすでに久しい。しかし、新型コロナの影響で人々の生活観に変化が起きているなかで、商店街のようなコミュニティが再び評価されている。

新型コロナウイルスから命を守るためのウェブサイト「PANDAID」を立ち上げ、世界中に広がる感染者の状況を可視化する活動をしている、デザイン事務所「NOSIGNER」代表の太刀川英輔と公共空間のあり方について思索する都市戦術家の泉山塁威の対談連載。(前回はこちら

今回は「ウィズコロナ時代の街づくり」をテーマに、地域コミュニティのこれからについて紐解いていく。

ソーシャルディスタンスが街を変える カフェからポイ捨て対策まで


太刀川:ウィズコロナの時代が到来し、今後は街づくりの視点でもソーシャルディスタンスが求められるようになりますね。泉山さんは、ソーシャルディスタンスを確保した街づくりについて、どのような未来を予想していますか。

泉山:例えば、街にあるカフェにどのような変化が起こりうるかということを想像してみても面白いと思います。

換気の悪い密閉空間を避けるという意味で、オープンカフェを利用したいと考える人はこれから増加していくと予想できますが、当然オープンカフェを出せるのは1階の店舗だけに限られます。そうするとカフェを出店する側から見ても、当然1階に人気が集中するので、2階、3階の物件が埋まらないという現象が起こるかもしれません。そういう自体を避けるために、建物の設計も1~2階をメゾネットにすることが当たり前になったり、階層の価値観がガラリと変化するかもしれないですね。

太刀川:そうですね。また感染症対策という観点からみると、カフェだけでなくレストランにも変化が起こりそうです。例えば、ソーシャルディスタンスを確保するためにレストランの席数を減らさざるを得ないとすると、これまでの売上を確保するために、ひとりあたりの客単価を上げていく必要があるのではないでしょうか。

ただその場合、料理そのものの値段が上がるというよりも、レストランで接客してもらうことに対する価値が高くなっていくのではないかと思います。なので、レストランで食事をする場合の単価は上がっていくかもしれませんが、テイクアウトやUberEatsではそれほど値段は変わらないと思います。

泉山:外出自粛を経て、飲食店でのテイクアウトの活用は私たちの生活に今まで以上に溶け込みましたが、これからもテイクアウト需要は増加していきそうですね。ただその場合、街のゴミ問題が課題となってくるかもしれません。例えば、タピオカはとても流行りましたが、同時にポイ捨て問題も大きく問いただされました。
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文=加藤朋子

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