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ポスト・コロナのニューヨークから

テレワークの生活リズムを確立したニューヨーカーも多い(Alexi Rosenfeld/Getty Images)

コロナ禍も一時期の危機的状況からは脱して、感染拡大も落ち着きを見せているニューヨーク市だが、実は、この5カ月で犯罪件数が激増している。2019年まで年々減少していたのだが、コロナ禍になってから、昨年よりも殺人事件件数が23%、発砲事件も79%上昇と、治安が悪化してきている。

また、コロナの第二波も予想される秋からのことを念頭に入れながら、学校再開や職場復帰について考えなくてはいけない時期に差し掛かっているが、ニューヨーク市中心部のマンハッタンでは、平日の昼間でもオフィスワーカーや観光客の人影は少なく、閑散とした雰囲気が色濃く漂っている。

日系運輸会社の責任者の話では、3月に一時帰国した駐在員も、ニューヨーク市に戻らずそのままになっているケースもあるとのこと。また、エンタテインメント業界やレストランなど飲食店の仕事をする日本人や、ニューヨークに長く住み、永住権を持っている人たちでさえ、日本に帰国することが多いという。

オフィスに戻りたくない症候群


不動産会社のダグラス・エリマンの調査によれば、マンハッタンの賃貸物件の空室数(7月)は1万3000件となり、これは昨年の2倍の数字だ。新規の賃貸契約数も昨年と比べて23%も減っている。

コロナ禍によって、多くの人が一時的にニューヨーク市の外へと転出したが、9月を前にしても一向に戻ってくる気配はなく、マンハッタンの空洞化が進んでいると言える。地元の人間によれば、1970年代にも、経済が悪くなったことで白人層が郊外に逃げ出した「ホワイト・フライト」が起こったが、その時と似てきているとのことだ。

マンハッタンには、市の税収の50%を収める人口比率1%の富裕層が多く住んでいるが、前述したようにこれらの人たちがマンハッタンから出たまま、いまだに戻って来ていない。

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マンハッタンの賃貸物件の空室数は昨年の2倍にも上る/Getty Images

アメリカの消費税は、日本のように国として一律ではなく、各州、各自治体によって変わる。ニューヨーク市の消費税は8.875%だが、少し離れた自治体では6%であったりするので、違う街に行けば生活費が安くなる場合も多い。

ニューヨーク州知事は、財政悪化を理由に市の税金を上げれば、富裕層は税金の安いところに留まり続けるだろうから逆効果になるという主旨のコメントをした。その一方でニューヨーク市長は、税収不足を補うため、例えば10万ドルの収入がある世帯で1.5%、1500ドルほど税金を上げる計画があると発表。正反対の意見を示した。

新型コロナウイルスの感染拡大が収まってきたことを受けて、ニューヨーク州知事は、9月からの学校再開を許可した。

とはいえ、知り合いの学校教師に聞けば、再開に反対する教師も少なくないし、教師自身が自分の子供への感染を恐れて辞職する例もあるという。教師側の意見も二分されていて、一斉に対面授業再開とは行かないようだ。

感染が拡大している州では、学校再開を前にして既に、児童や学生の間で感染が広がり、クラスターが発生しているところもある。アリゾナ州では教師が自主的に集団で病欠し、学校再開をボイコットする形になっているという。

文=高橋愛一郎

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