テクノロジー

2020.09.01 11:30

スペースXが100回目のロケット発射成功、「極軌道」に投入

Joe Burbank/Orlando Sentinel/Tribune News Service by Getty Images

Joe Burbank/Orlando Sentinel/Tribune News Service by Getty Images

スペースXは8月30日、通算100回目のロケット打ち上げを成功させた──。アルゼンチンの地球観測衛星SAOCOM-1Bを搭載した同社のファルコン9ロケットは、現地時間午後7時18分にフロリダ州のケープカナベラルから発射された。

打ち上げから約8分後、ロケットの1段目はケープカナベラルに戻り、無事に着陸した。イーロン・マスク率いるスペースXは2006年に初の打ち上げを行って以来、今回が100回目で、そのうち96回を成功させている。

ロケットごとの打ち上げ回数を挙げると、ファルコン1が5回(そのうち3回が失敗)、ファルコン9が92回(1回の失敗)、ファルコンヘビーが3回(全て成功)となっている。

今回のミッションで搭載されSAOCOM-1Bは、アルゼンチン宇宙機関の地球観測衛星で、高度620kmからレーダーを使って災害の予兆を探るために打ち上げられた。また、GNOMES-1とTyvak-0172という2つの小型衛星も搭載されていた。

このミッションでスペースXは、58回目のロケットの着陸を成功させると同時に、第1段ブースターの42回目の再利用を達成した。

今回の打ち上げは、さらに別の点でも意義深い。それは、今回のロケットがフロリダから打ち上げられるものとしては1969年以来初めての「極軌道(Polar Orbit)」に向かうものだった点だ。極軌道は地球を「縦まわり」する軌道で、地球のあらゆる場所を観測する衛星に適しており、地球観測衛星や偵察衛星、気象衛星などでよく用いられる。

これに対し、地球を「横まわり」で周回する軌道は、「静止軌道(Geostationary Orbit)」と呼ばれている。静止軌道に投入された衛星は、地球から見るとずっと同じ地点にとどまり、通信衛星や気象観測衛星にこの軌道が用いられている。

フロリダから前回打ち上げられた極軌道衛星は、米国海洋大気庁(NOAA)の前身である環境科学サービス庁(ESSA)の気象衛星だった。ESSA-9と呼ばれるこの衛星は1969年に打ち上げられ、1972年まで運用されていた。

しかし、フロリダからの極軌道衛星の打ち上げにおいて課題となるのは、居住地域に破片を落とさないようにすることだ。1960年には、米海軍がロケットの一部をキューバに落とし、牛を死亡させていた。スペースXは、不具合が発生した場合にロケットを自爆させる自動安全システムを用意したため、このような打ち上げを行うことが許可された。

SpaceXは今回のミッションで、衛星コンステレーションの「スターリンク」向けの60の衛星を同時に打ち上げる予定だったが、これは9月1日に延期された。

編集=上田裕資

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事