経済・社会

2020.09.01 11:05

トランプの敗北受け入れ拒否「法が阻む」 ゴア元副大統領

アル・ゴア元副大統領(Photo by Chris Hyde/Getty Images)

アル・ゴア元副大統領(Photo by Chris Hyde/Getty Images)

11月の米大統領選で、現職のドナルド・トランプ大統領が敗北しても結果を認めないことが懸念されている問題で、自らも2000年の大統領選の結果をめぐって最高裁まで争ったアル・ゴア元副大統領は、選挙結果を無効化しようとする大統領の試みは米国憲法によって阻止されるだろうとの見方を示した。

トランプとその法律チームは今回の選挙で急増が見込まれる郵送投票を法的に攻撃するにあたり、票の再集計を停止させてゴアの敗北を決めた最高裁判決を持ち出している。

ゴアはロイター通信のスティーヴン・アドラー編集主幹との対話で、ジョージ・W・ブッシュに僅差で敗れた20年前の大統領選を振り返り、最高裁の判決を受けて敗北を認めたことについて「ほかにとれる手段はなかった」とし、後悔はしていないと語った。「最高裁による最終判断と暴力革命の間には介在する段階がない」ということを調べた末の決断だったとも明かした。

トランプは最近、郵送投票や、郵送投票の回収に使われているドロップボックスを非難したり誤った情報を広めたりしているほか、郵送投票に関する郵政公社への資金支援にも不満を表明。選挙延期の可能性にも言及し、選挙結果を受け入れないのではないかという懸念を招いている。

ゴアは、自身の場合は、敗北を認めず選挙戦を長引かせることで国を引き裂きたくなかったが、トランプが郵送投票や米郵政公社を非難していることからは、選挙の正当性に疑問を呈するつもりであることがうかがわれると指摘。トランプは「社会や、米国民の政治的均衡を壊すことに何の良心のとがめも感じていないようだ」と批判した。

もっとも、たとえ実際にトランプが敗北を認めなかったとしても、ゴアは「選挙結果を決めるのは彼ではない」とし、問題にはならないとの見解も示した。

「(来年の)1月20日正午、新しい大統領が就任すれば(中略)、警察やシークレットサービス、軍、そして大統領の下で働くすべての行政官は、新しい大統領の指揮や指示に従うことになる」「なので、トランプが選挙結果を個人的に受け入れるかどうかというのは問題にはならないだろう」(ゴア)

ゴアは「トランプが選挙の正当性を否定しようとしても、憲法制度と法の支配がそうした試みを抑え込むことを望んでいるし、そうなることに自信をもっている」とも語った。ただ、米国人はトランプによる選挙後の戦略に対抗する準備をしておくべきだとも言い添えた。

郵送投票に対するトランプ陣営の法的な攻撃は、2000年の「ブッシュ対ゴア」裁判の最高裁判決に大きく依拠している。CNNテレビは、この判決はこれまでの訴訟ではめったに用いられなかったが、トランプ陣営の法的な取り組みが成功すれば今回の大統領選での「大量の票の廃棄」につながりかねないと伝えている。

今回の大統領選では郵送投票が広く利用されるとみられ、勝者が決まるまで何日もかかるおそれがある。トランプは、真の勝者がわかるまでには何カ月あるいは何年もかかる可能性があると主張。ワシントン・ポストによると、共和党全国委員会は、選挙後「数週間にわたる法廷闘争」も視野に入れている。

編集=江戸伸禎

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